タレント堀ちえみ(52)が19日、公式ブログで、口腔(こうくう)がんであることを発表した。

この日都内の大学病院に入院し、22日に手術を受ける。迷った末に子供たちにがんを伝えたことが、治療を決意させてくれたという。現在ステージ4で、左首のリンパに転移していることも明かした上で「必ず戻ってきます」と、前向きな気持ちを示している。

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堀は先週まで大阪、名古屋の情報番組に生出演していたが、実は口腔(こうくう)がんの告知を受けていた。ほかにTBS系「金スマ」(金曜午後8時57分)の収録など、すべての仕事のスケジュールをこなし入院したこの日、ブログでの発表に至った。

22日には手術を行う。舌の半分以上と、首のリンパに転移した腫瘍を切除、さらに切除した舌に自分の皮膚の一部を移植するという。口腔外科と形成外科の合同チームによる、12時間以上の大手術になるとした。所属事務所によると、入院は2カ月ほどと見込まれているが、あくまでも見込みで、術後の経過や体調によって大きく変わる。退院後はリハビリを行うという。

堀によると、異変を感じたのは昨夏だった。小さな口内炎ができ、塗り薬、貼り薬、ビタミン剤などで対処していたが改善せず、かかりつけの歯科医院でレーザーで焼いてもらうこともあったという。

症状はひどくなる一方で、年明けには激痛が走り、眠っていても痛みで目が覚めてしまうように。インターネットで症状を調べた堀は、舌がんではないかと感じ、先月21日に大学病院で診察を受けた。今月4日には生体検査の結果が出て、口腔がん(左舌扁平上皮がん)の診断と左首のリンパへの転移、ステージ4の告知を受けた。

治療を行わない選択肢も考えたが、子供たちにがんを伝えたことが治療を決意させてくれたという。高校1年の娘は涙で「リウマチのお薬のおかげでやっと良くなって全身の痛みから解放されて、今度はがんだなんてかわいそうすぎる。お母さんとまだこれだけしか一緒にいないのに。つらすぎる」などと言ったという。堀は、夫と子供のために病気と闘うことを決め「私は負けません。力いっぱい闘って、必ず戻って来ます。そして再びファンの皆さまの前で、歌が歌えるようになりたい」と記した。

01年には急性膵炎(すいえん)を患い、16年にはリウマチ、特発性大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)症で人工股関節に置換する手術を行った。30代以降、病気に苦しめられてきたが、持ち前の前向きさで乗り切ってきた。原動力の1つは子供たちの存在だ。90年に第1子となる長男を出産して以降、5人を出産。11年の再々婚で、相手の子供を含め7人の母となった。「悩んだこともあったけど、育てて良かったし、楽しい人生」と話したこともあった。今回も子供たちが大きな力になっている。夫、子供たちと一緒にがんに立ち向かう決意だ。

◆がんのステージ(病期) がんの状態を知るための基準を「ステージ」または「病期」という。がん細胞やがんの組織の性質などを組み合わせることで、がんのステージが決められるという。ステージの分類としては、国際対がん連合(UICC)の「TNM分類」が有名。進行度によって、初期段階の0期から最も進行している4期まで、5つに分類している。口腔がんの場合、5年生存率はステージ1が90%以上、ステージ2が80%前半、ステージ3が70%前半、ステージ4が50%台となっている。

◆口腔がん 口の中にできるがんで、部位によって口唇(こうしん)がん、舌がん、口底(こうてい)がんなどに分類される。日本口腔外科学会などによると、舌がんが最も多く口腔がんの約40%%を占める。喫煙と飲酒は口腔がんの発症リスクを高め、虫歯や合わない義歯などによる慢性刺激も原因として疑われる。初期は痛みや出血はなく、白い病変や赤い病変、硬いしこりが現れることもある。病状が進むと出血・悪臭を伴うようになる。さらに進行すると、首のリンパ節に転移し、しこりが触れるようになる。