宝塚歌劇団は12日、100周年後の劇団を「タカラヅカ新世紀の顔」の1人としてけん引してきた花組トップスター明日海(あすみ)りおが、11月24日付で退団すると発表した。明日海は13日、大阪市内で退団会見を開く。

100周年行事の直後、14年5月にトップ就任し、「タカラヅカ新世紀の顔」として本拠地10作に主演。月組時代の12年4月には、劇団史上初の準トップスターに就き、当時トップの龍真咲とともに、異例の本拠地作で主演役代わり。準トップ時代を含めると、本拠地主演経験作は12作になり、平成以降退団のトップでは最多となる。

退団までの任期は5年6カ月13日で、平成以降では和央ようか、柚希礼音に次ぎ、歴代3番目の在位。相手娘役は就任時の蘭乃はなから、14年11月に花乃まりあ、17年2月に仙名彩世、6月25日初日の横浜アリーナ公演「恋スルAREANA」では、次期トップ娘役に華優希(はな・ゆうき)を迎える。退団までの相手娘役4人目も、トップ制度固定後で最多。前日11日に「CASANOVA」の宝塚大劇場千秋楽を迎え、3人目相手役の仙名を本拠地から送り出していた。

03年入団の明日海は、月組に配属。端正な容姿と歌唱力、繊細な演技力で早くから注目され、08年に宝塚バウホール、新人公演に相次いで初主演。抜群の美貌と、柔らかい雰囲気から「フェアリータイプ」として人気を得たが、自身は「男らしさ」を目指し、細かい役作りを重ねてきた。

月組準トップ時代には、トップ就任前から、龍と役代わりで本拠地作「ロミオとジュリエット」「ベルサイユのばら」に主演した。トップ固定制が敷かれて以降、例がない抜てきだった。

13年、花組へ移り、三井住友VISAカードのイメージキャラクターに就任。100周年にわいた14年5月12日、蘭寿とむの後任として花組トップに就いた。月組時代に培われたアイドル性に、花組伝統の男らしさも加わり、さらに進化。独自の男役像を確立させた。

トップ就任後は「エリザベート-愛と死の輪舞-」「ME AND MY GIRL」など、劇団を象徴する作品に加え、「新源氏物語」では華麗な平安絵巻を圧巻の美しさで表現。「金色の砂漠」では、主演男役として異例の奴隷役に臨み、挑戦を続けた。

15年には、星組元トップ柚希礼音(ゆずき・れおん)に続き、劇団2度目の台湾公演に主演。昨年は、傑作漫画を初舞台化した「ポーの一族」を成功させた。今月29日に東京宝塚劇場公演開幕を控える「CASANOVA」では希代のプレーボーイ役。同役を演じるにあたって「100周年の時にいた(他組の)トップさんは、気づけば皆、退団されている」と、時の流れを振り返っていた。

退団公演は「A Fairy Tale-青い薔薇の精-」「シャルム!」。宝塚大劇場は8月23日~9月30日、東京宝塚劇場は10月18日~11月24日。東京公演千秋楽をもって退団する。