まもなく終わる平成。その序盤のJポップ名盤の1枚と信じて疑わないのが、原田知世(51)の97年アルバム「I could be free」だ。

90年代のスウェディッシュポップブームを先駆した「カーディガンズ」プロデューサー、トーレ・ヨハンソン氏が手がけた1枚。アナログのようなぬくもりあるサウンドながら、洗練されたアレンジ、メロディー。そこに原田の、少し乾いた、キュートな声が重なる。ヒット曲「ロマンス」や「愛のロケット」の完成度の高さはもちろん、タイトル曲「I could be free」や「ラクにいこう」なども捨てがたい。

その原田知世にインタビューする機会が訪れた。日本テレビ系ミステリー「あなたの番です」(14日スタート、日曜午後10時30分)を前に、「日曜日のヒロイン」のインタビュー取材。ドラマの話が中心だが、衝動を抑えられず、わが愛聴盤の生まれた経緯について、少しだけ聞いてみた。

原田は「今につながる話で言うと、その前に、鈴木慶一さんと3作くらいアルバム作っていたんです」。個性派がそろったバンド、ムーンライダーズのリーダーとの出会いから始まったという。

原田は続ける。「カーディガンズをラジオで聞いていた私のディレクターの方が、私の声とトーレ・ヨハンソンさんの作るサウンドがすごく合う気がするから、一度プロデューサーのオファーをしてみたらどうだろうという話が出たんです。慶一さんも『すごく面白い』と言ってくださって。スウェーデンでレコーディングしたことないし、日本人で当時行っている人もあまりいなかった。このアナログな音がどうやってできているのか聞きたいし、行こうというので。オファーしたらすぐ、OKをいただいたのがきっかけです」。 ラジオで聞いてGOサインを出したプロデューサー、その背中を押した鈴木慶一。少年のような音楽好きの仲間に囲まれて、原田の名盤は誕生していたのだ。【大井義明】