宝塚歌劇団月組の2番手スター美弥(みや)るりかが15日、兵庫・宝塚大劇場で、退団公演「夢現無双-吉川英治原作『宮本武蔵』より-」「クルンテープ 天使の都」千秋楽を迎え、男役17年を過ごした本拠地生活に別れを告げた。

「組の仲間、応援してくださったファンの皆様、1人1人との素晴らしい出会い…に、心から感謝の気持ちでいっぱいです。恋をし続けた宝塚大劇場とのお別れの時に、こうして、このすばらしい時を過ごせたこの瞬間を、胸に刻み、勇気を出して、新しい人生に1歩、歩んでまいりたいと思います」

本拠地千秋楽のこの日、通常公演終了後、美弥のラストデーにあわせ、トップ以外では異例のサヨナラショーも開かれた。「BADDY」など、月組時代のナンバーをメーンに、美弥が中心となったショーを展開。その中盤から、大きな目に涙をため、感涙しながら熱唱を続けた。

ショーを終えると、恒例の退団者あいさつ。正装の緑のはかま姿で退団者4人のうち、最後に大階段をおりた美弥は「1993年、私はこの宝塚大劇場の客席にいました。初めての本拠地での宝塚での舞台(観劇)に、胸を弾ませ、見た作品が月組のグランドホテルでした」と、幼き日のタカラヅカとの出合いからを振り返った。

涼風真世が主演した「グランドホテル」を観劇し、宝塚音楽学校受験を決意。レッスンに励み、同校を経て03年に入団した。身長は男役としては恵まれない168センチ。小柄で細身ながら、男役への熱さは人一倍。観劇後の帰り道、花の道を歩きながら「将来、すてきな男役さんになりたい」と誓ったといい、美弥は「その気持ちのまま、私は宝塚に恋をし続け、自分の望む男役とは何か、求め続けて、気がつけば17年という月日がたっていました」と、目を潤ませながら話した。

女役にも挑戦した17年を「いろいろなことがありました。笑ったり、幸せだったり、泣いたり、そして歌ったり、でも、どれもいとおしい時間です」。下級生や、今春入団の初舞台生には、自分を磨き続け、自分のペースで進んできた美弥をあこがれにあげる者も増えてきた。

「私の存在がどなたか1人でも、誰かのエネルギーになれていると知ったとき、私は初めて、自分の存在が、生きていく意味が感じることができました」

後輩、組の仲間、そしてファンに感謝した。

この日は、真っ白な洋服で統一した大勢のファンに囲まれて劇場入り。午後1時開演ながら、午前中から、劇場外にも、退団する生徒を見送る場合、恒例の白い服に身を包んだファンが多くあふれていた。

美弥は03年入団。星組から月組へ移り、16年秋にトップに就いた5年後輩の珠城りょうを、最も近くで支え、珠城に「美弥さんと出会えたことは財産」と言わしめていた。

東京宝塚劇場は5月3日~6月9日。美弥は東京公演千秋楽をもって退団する。