2輪のオフロードレーサーとしてダカール・ラリー(通称パリダカ)に2年連続で出場し、4月に本格役者デビューした異色俳優、風間晋之介(34)が4日、都内で取材に応じ、「死にそうな苦労はダカール・ラリーで味わった。そこと比べたら何でも耐えられる。(俳優業に)命をささげられる自信は、どんな人よりもある」と俳優業への決意を示した。

倉本聰氏脚本のテレビ朝日系「やすらぎの刻~道」(月~金曜午後0時30分)に、風間俊介が演じる根来公平の兄、根来三平役で出演。オーディションを突破した時は「夢見心地。レース優勝と同じくらいうれしかった」と振り返った。撮影期間と重なる3年連続ダカール出場は「未練ないです」と、今は役者に集中している。

父で冒険家の風間深志(しんじ)氏(68)は82年にダカール・ラリーの2輪部門に日本人として初参戦。その血を継いだ風間も、14歳でモトクロスに参戦し、高校入学後は単身渡米して通学しながらレースに参戦した。10年までモトクロスレーサーだったが、背骨を骨折し断念した。

第2の人生に俳優を志したのは、深志氏と公私で交流があった俳優、根津甚八さんとの出会いという。幼少時、釣りやキャンプなども共にした風間は、根津さんの演技について「目力がすごい。セリフなしで伝えられるインパクトがすごいので、そうなりたい。いるだけで存在感がある。超えられない目標」と背中を追っている。

16年に69歳で亡くなった根津さんの晩年には、俳優業へ挑戦する報告もした。「体調が思わしくなくて、あまり会話できる状態ではなかったんですが、僕のレッスンの資料を見ていただいて『悪くないんじゃないか』みたいな言葉をいただいて、それはすごくうれしかった」と、遺言も胸に刻んでいる。

「やすらぎの刻」では倉本氏の脚本に驚き、身を引き締めている。「一語一句変えちゃいけない。変えちゃうと演じやすくはなるけど、それは脚本に描かれたキャラクターを自分に寄せている。それではキャラクターが変わってしまう。言葉のチョイスだけで人間関係を表現されている」と、刺激を受けている。

昼時の番組。昭和の設定で、丸刈りに精悍(せいかん)な顔立ちは主婦や中年女性から人気を呼びそうだ。風間も「まずはマダムから(笑い)」と冗談の中に、アピールを込めた。

役者に集中しつつバイクへの愛も残している。「2輪業界が低迷している。人を呼び込みたい。俳優風間晋之介としてパリダカに出たら面白い動きになる。もう1度だけ、出たい」。まずは俳優に全速力。その後は、バイクとの懸け橋の先頭に立つ決意も示した。

 

◆風間晋之介(かざま・しんのすけ)1984年8月29日、東京生まれ。14歳でモトクロス参戦を開始、10年引退。17、18年のダカール・ラリーで完走し、18年の総合44位は南米大会で日本人最上位。15年から18年にかけてインディーズ映画などに出演。家族は女優の妻(36)と長男(4)。身長170センチ、体重60キロ。血液型O。