滋賀県大津市で8日、信号待ちをしていた保育園児の列に軽自動車が突っ込み、園児2人が死亡、13人が重軽傷を負った事故のニュースを見て、この春まで息子を保育園に預けていた親として思うことがいろいろあった。

特に、気になったのが、園児たちが通っていた保育園には園庭がなく、散歩するのが日課になっていたが、それに対して一部メディアやネット上で、批判的な意見が多く見られたことだ。自分の場合、保育園を取り巻く環境や教育を考えると、安全対策をした上での園外活動は必要なものと思い、子どもを預けてきた。

現在、待機児童の問題などから各地で保育園や幼稚園がハイペースで新設されている。自宅の近所でも、この1~2年で5カ所ほど建設された。そのうち、園庭があるのは2カ所で、あとは保育園にすら見えないような建物だ。都市部で私立の保育園が新設されるとなれば、ほとんどの場合、用地確保の問題などから園庭がない施設になるのは仕方ないことだろう。それに、園庭のある保育園に入れさせようと思っていても、好きな保育園を選べないのが現状だ。

一方で、子どもにとって外遊びは必要なことだ。感受性豊かで、吸収力があるこの時期。外遊びによって、さまざまなことへの免疫力をつけることも必要だろう。知人の保育士いわく、道路を歩くためのルールを覚えるきっかけにするためにも、園外活動を実施していという。小学生になると、通学は子どもたちだけでするケースがほとんどだからだ。そういう大切なことを教えてくれた保育士さんには、今でも感謝しているし、良い活動だと思っている。

そもそも、今回の事件や先日、東京・池袋で起こった事故を含め、外にいれば子どもだけでなく、誰もが事故に巻き込まれるリスクがある。保育園児は散歩しないとか、高齢者が免許を返上すれば全て解決するという問題でもない。結局のところ、運転する人も、外を歩く人も、それをサポートする人たちも、周囲に気を配りながら行動するしかないように思う。限界があるかもしれないが、「それでも意識を高めていかなくてはいけない」と、あらためて感じた出来事だった。【上岡豊】