圧倒的な華やかさを持つ花組スター柚香光(ゆずか・れい)が、少女漫画の象徴作「花より男子」に主演。

日本のテレビドラマでは松本潤が演じた道明寺司を好演している。クールな顔立ちで、財閥御曹司の「俺様」キャラが、ぴったりはまっている。東京・TBS赤坂ACTシアターで、7月2日まで上演中。

生粋の「花男(はなおとこ)」が、宝塚の「花男(はなだん)」に臨んでいる。入団11年、劇団最古の花組一筋で、舞台のどこにいてもオーラを放つ。もともと、クールな顔立ちから、ファンの間では「松潤似」との声も多かった。

「ライバル心? そんなこと、ないですけども」。恐縮しつつも、原作漫画「花男」への思いは強い。アニメ化、国内外でドラマ化された原作のファン。松本潤主演ドラマも見ていた。

「当時の学校での思い出が、よみがえる。自分の中でも大事な作品。松本潤さんと、井上真央ちゃんの絵(映像)が出てきて…私の中で。(原作を)汚さずに、宝塚の道明寺司を作り上げたかった」

華やかな楽曲でつづるミュージカル「花男」。漫画原作では17年に「はいからさんが通る」に主演したが「それとは違う」と言う。

すべてに恵まれたカリスマ男子4人がそろう「F4」。うち、誰か1人の“推し”ではないが「F4の存在が、女の子の夢じゃないですか。お金持ちで、麗しくて、タイプの違った4人組」と、とらえてきた。

「このセリフ、原作ではどんな表情で言っていたか、何よりものバイブルがあった。まあ、歌って踊る道明寺司。私がやれば自然に柚香光らしさが出てくるとは思うんですけどね」

女性が理想とする男性を「体現」する男役、宝塚の世界との共通点もある。

「こんなに都合よく4人が同時にそろわないだろって思うけど、もしいたら、どんなにときめくか。ギリギリのライン。宝塚も理想、夢と現実のバランス。そこは似たものがある」

東京で、若手を率いての公演。「宝塚」の看板を背負う重みも感じる。

「『花より男子』をやるということで、宝塚と縁がなかった方も見に来られる。私たちで『宝塚』を判断される。これが第一印象にもなりますから」

覚悟も備わった。各組スターぞろいの95期。同期から真っ先に、首席入団の星組礼真琴が次期トップに決まった。花組も、在位5年半に及ぶトップ、明日海りおの退団が決まった。105周年、過渡期にある。

「今回、お稽古していても、下級生がほんとに生き生きしていた。朝から夜まで皆が輝いていた。みんなのキラキラした姿を大事にしたいと思いました」

若手時代は「自由人」と言われた柚香だが、後輩を率いる自覚も備わった。トップ5年半で退く明日海が、いまだ進化を続ける強さから、学ぶことも多い。

「最終形態かと思うと、まだ進化する。私が盗もうと思っても、もう次に。日々ステップアップ、パワーアップされて、次に(大劇場作で)ご一緒したら、もう、私の知っている明日海さんじゃないと思う」

貪欲なトップの背は追えども、追えども遠い。「明日海さんの進化する姿、舞台へ向かう一瞬一瞬を見逃したくない」。最後まで全力で、その遠い背中を追い続ける。【村上久美子】

◆柚香光(ゆずか・れい)3月5日、東京都生まれ。09年入団。花組配属。14年2月「ラスト・タイクーン」で新人公演初主演。同6月「ノクターン」で宝塚バウホール初主演。15年8月の台湾公演でオスカル。17年「はいからさんが通る」で外部劇場に初主演。昨春の博多座「あかねさす紫の花」で、トップ明日海と異例の役代わり。身長171センチ。愛称「れい」。

◆TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE「花より男子」(原作=神尾葉子、脚本・演出=野口幸作) 名門校「英徳学園」は、「F4」と呼ばれる美男子生徒4人が支配していた。「Flower four(花の4人組)」は、眉目秀麗なお坊ちゃま集団。世界的財閥の御曹司である道明寺司(柚香光)、花沢物産の跡取り息子でクールな花沢類(聖乃あすか)、茶道家元の息子でプレーボーイの西門総二郎(希波らいと)、美作商事の後継者でマダムキラーの美作あきら(優波慧)の4人。一般庶民ながら入学した牧野つくし(城妃美伶)は、友人をかばい「F4」に目をつけられる。