歌手高橋真梨子(70)が22日、千葉・市川市文化会館でコンサートを開催し、ソロ公演動員700万人を達成した。72年にペドロ&カプリシャスの2代目ボーカルとなり、78年からソロへ転向。79年6月に初のソロ公演を行ってから実に40年。3035公演目で「高橋真梨子」の歴史に新たな金字塔を打ち立てた。

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「今日の公演で700万人を動員しました。皆さん、ありがとうございます」。最初のあいさつで感謝の言葉を伝えると、会場を埋める約2000人のファンから大きな祝福の拍手が返ってきた。

79年6月10日、ソロ転向後初の全国ツアー「ひとりあるき」を東京・読売ホールでスタートさせた。それから40年、この日の3035公演目でたどり着いた700万人動員だ。「2階席の人にも私の曲は届いていますか? 心はいっていますよ」。特別の日だがステージではいつも通り。目の前にいる1人1人にしっかり届けようと歌唱だけに集中した。

今月12日に初のセルフカバーアルバム「MariCovers」を発売。20代後半から30代前半に歌唱した11曲を選び、テンポをゆるめ、しっとり感を出して“今の高橋真梨子”を反映させた。その中から5曲を歌唱。初めて作詞作曲をした「Mary,s Song」や「訪れ」など、令和バージョンに生まれ変わった昭和の名曲たちに、歌唱が終わる度に客席から温かい拍手が贈られた。「今日も世界で一番きれいですよっ!」。常連のファンからの掛け声が飛ぶと笑顔で応えた。

今年3月で古希を迎えたが、40年以上の長きにわたって2000人以上収容の大規模ホールで年間25公演以上を続けている女性ソロ歌手はただ1人。今年の全国ツアーも、16日の埼玉公演を皮切りに11月24日の東京国際フォーラムまで、全国20会場で34公演を実施する。

終演後には「1人1人との出会いがあっての700万人。すべてが私の宝物です」と改めてファンに感謝。そして「もうちょっと頑張らなくちゃ。次は701万人です」と続けた。偉業さえも、生涯現役を求める希代の歌姫には単なる通過点だ。「公演前は不安な思いもあるけど、終わると充実感でいっぱいなんです」。この日の充実感を胸に、高橋は令和の時代も歌い続ける。【松本久】

◆高橋真梨子の偉業メモ

▼最年長記録 15年発売のアルバム「ClaChic」が、オリコンの女性歌手のトップ10入り最年長記録を更新(66歳3カ月)。09年発売「No Reason」、10年の「No Reason2」でも記録を更新している。

▼紅白でも 16年にソロとして4回目のNHK紅白歌合戦に出場。当時の67歳9カ月は紅組の最年長記録。翌年も5回目の出場を果たし自己記録(68歳9カ月)を更新した。

▼日本人唯一 「音楽の殿堂」と呼ばれる米カーネギーホールの大ホールで、日本人で唯一、3回(93、08、16年)の公演を実施。複数回実施は高橋のみ。

▼主題歌25曲 307曲のオリジナル作品中、150以上の楽曲で作詞を手掛け、ドラマや映画の主題歌を25曲担当。