日本テレビ系バラエティー番組「月曜から夜ふかし」(月曜午後11時59分)に出演する棋士の桐谷広人さん(69)を、同局の夏恒例の祭典「超汐留パラダイス」キックオフイベントで取材する機会があった。

現金をほとんど使わず株主優待で生活していることが同番組で紹介されてきた、ご存じ「桐谷さん」。株主優待のすべての有効期限を記憶し、期限切れ間近の店にトレードマークの自転車で猛ダッシュするシーンは、おなじみの人も多いだろう。イベントでもそんな記憶力と、棋士という勝負師の素顔をかいま見せる場面があった。

桐谷さんは、ステージに番組同様、渡辺美里の「My Revolution」のメロディーに乗って自転車でさっそうと登場。早速、「この自転車は『あさひ』という上場の自転車があるんですけども、そこの優待券で買った自転車」と明かした。こちらがぶっつけ質問で聞いた「イベントのために使った株主優待」については、自身のコーディネートを「メガネはパルコ、シャツはTAKAーQ、ズボンはHIMARAYA、靴はGーFOOT、靴下はTABIOです」と、即答。記憶力はさすがだった。

プロ棋士としては07年に七段で引退したものの、勝負にこだわる姿は負けず嫌いそのもの。お笑いタレントとのフィットネスバイク対決で敗れ、その後の再挑戦でも結果が伸びないと「私の自転車よりめちゃめちゃ重くて…」と負け惜しみ。「もう1度やりたいですね」と何度も繰り返した。

温厚な印象の桐谷さんだが、少しばかり毒もある。ステージに集まった観客を前に「う~ん、私の講演会の時は1000人くらい来るんで、ちょっと少ないな、と思ってですね」。そんなストレート発言も笑いにしてしまう、憎めない桐谷さん。記憶力と同様に計算ずくなのか、ただただ思ったことを言った天然なのか。まるで将棋のように、こちらもいろいろ考えてしまうような、興味が尽きない人物だった。【大井義明】