「第32回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)が、11日までに決まった。新人賞は「愛唄 約束のナクヒト」「デイアンドナイト」「いちごの唄」で、それぞれみずみずしい演技を披露した清原果耶(17)が獲得した。

   ◇   ◇   ◇

「撮影している間、ずっと誰かの心に届いたらいいなと思っていたので、賞という形になって本当にうれしいです」

シリアスな作品の多い清原がめずらしく顔をほころばせた。

「『愛唄-』の現場では役の雰囲気のまま過ごして、打ち上げでも役名で呼び合ってました。『デイアンド-』はオーディション会場の人の多さに困りました。役柄の感情に近づこうと、そればかり考えていましたね。『いちごの唄』はヒロインの中学生時代で、そのトラウマの元になった部分を私1人で演じなくてはならなかった。プレッシャー感じましたね。現場の空気が一番大事で、私が考えていたことが正しいわけではないので、そこで渦巻く空気感を取りこぼさずに受け取っていかに返すか、いつもそんなことを考えていますね」

自分の立ち位置、やるべきこと。17歳とは思えない理解力が確かな演技を支えているようだ。

もともと女優志望ではなかった。家族そろってPerfume好き。同じ事務所に入ったのがデビューのきっかけだ。

「オーディションを受けながら演じることの楽しさを実感していった気がします。どこが楽しいかと言われると、ちょっと分からないんですけど(笑い)」

多忙な1年だった。

「自分の中では、いろんな役との戦いの1年でした。来年は楽しみがあるんです。18歳になるので今まで出来なかった22時以降の深夜撮影にも参加できます。『清原さん終了です』と気遣われるのが申し訳なかったですからね」と再び笑った。【相原斎】

▽新人賞・選考経過 「素晴らしかった。顔が忘れられない」(神田紅氏)と、表情豊かな新津ちせを評価する声や、「久々に現れた規格外の男」(駒井尚文氏)とYOSHIを推す声も。「『デイアンドナイト』を見て、化けるぞと思った」(伊藤さとり氏)など、清原への評価も高く、2回の投票で決定。

◆愛唄-約束のナクヒト- 本気で人を好きになることもなく大人になったトオル(横浜流星)はある詩との偶然の出会いから、恋と向き合う勇気を得る。ようやく巡り会えた運命の少女・凪(清原)の言葉に生きる意味を教えられる透だが、凪には秘密があった。川村泰祐監督。

◆デイアンドナイト 児童養護施設のために非合法な手段で金稼ぎをする北村健一(安藤政信)の計らいで同施設の調理場を任された明石幸次(阿部進之介)は、北村に魅了されていく。施設に暮らす大野奈々(清原)は明石を気にかけ、心を通わせる。藤井道人監督。

◆いちごの唄 笹沢コウタ(古舘佑太郎)の親友伸二は、中学生のころ2人が憧れた天野千日(石橋静河)を交通事故から守り、亡くなった。10年後、千日と偶然再会したコウタは年に1度会うことを約束。恋心を抱くコウタに、千日は伸二との秘密を語る。菅原信太郎監督。

◆清原果耶(きよはら・かや)2002年(平14)1月30日、大阪生まれ。14年アミューズオーディションフェス・グランプリ。翌年から三井不動産グループなどのCMに起用される。同年NHK連続テレビ小説「あさが来た」に出演。17年には映画「3月のライオン」の泣きの演技で注目を集める。今年7月にはNHKBS「蛍草 菜々の剣」で時代劇に初挑戦した。