「第32回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)が、11日までに決まった。助演女優賞には「よこがお」などに出演した市川実日子(41)が選ばれた。

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市川は「よこがお」では、筒井真理子(59)演じる主人公が結婚することを知り裏切るニートの女・基子を、「初恋-」では倍賞千恵子(78)藤竜也(78)演じる年老いた両親を見守るキャリア女性を演じた。

「『よこがお』は、人それぞれ受け取り方が違う、胸がザワザワした作品。基子は単純にニートという言葉ではくくれない。静かに、浸食するように主人公を攻撃する。定規で言うと、1つの目盛りがすごく細かい。探りながら、迷いながら演じました。深田晃司監督の、迷いのないまなざしがあって生まれた役だと思っています」と振り返る。

ほぼ初共演の筒井について「ものすごい集中力。本番中に問い詰められるシーンを見ていたら、鳥肌が立ってらした。とてもすてきな方です」。

「初恋-」では「倍賞さん、藤さんとご一緒できたのが、緊張したけど楽しみでした。2人ともすてきな方で、現場に行くのがうれしかった」。小林聖太郎監督とは、助監督時代の03年「ぷりてぃ・ウーマン」以来。「すごい昔(笑い)。声を掛けていただいて、うれしかった。しかも助監だった時と変わってないのが素晴らしい。今回の姉役の西田尚美さんとは、当時は同級生役だったんです。それもうれしいですね」と笑顔を見せた。【小谷野俊哉】

◆市川実日子(いちかわ・みかこ)1978年(昭53)6月13日、東京都生まれ。94年に「Olive」専属モデル。98年短編映画「How to 柔術」で女優デビュー。03年初の主演映画「blue」でモスクワ国際映画祭最優秀女優賞。16年「シン・ゴジラ」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞。ドラマは18年TBS系「アンナチュラル」、19年日本テレビ系「イノセンス 冤罪弁護士」など。身長170センチ。血液型A。

◆初恋~お父さん、チビがいなくなりました 3人の子どもが巣立ち、人生の晩年を猫のチビと穏やかに暮らす勝(藤竜也)と有喜子(倍賞千恵子)。有喜子がある不安から離婚の決意を娘の菜穂子(市川)に打ち明ける中、心のよりどころだったチビが姿を消す。小林聖太郎監督。

◆よこがお 訪問看護師の市子(筒井真理子)が通う大石家のニートの長女・基子(市川)は市子をひそかに慕っていたが、その思いはやがて憧れ以上の感情に変化。ある日、基子の妹が失踪。誘拐への関与を疑われた市子は、理不尽な状況へと追い込まれていく。深田晃司監督。

▽助演女優賞・選考経過 「彼女が出てくると、作品がおもしろくなり、ぐっとリアリティーが増す」(不破浩一郎氏)と市川実日子を推す声や、「こんな夜更けにバナナかよ」の高畑充希について「生き生きした作品に貢献していてチャーミング」(福島瑞穂氏)の声も。接戦で市川に決定。