「白いブランコ」でデビューして52年目を迎えた兄弟デュオ、ビリー・バンバンの弟の菅原進(72)が、ニコニコ動画で若者たちの間で話題を呼んでいる。きっかけは今年1月、育成アニメゲーム「アイドルマスター」のキャラクター小早川紗枝が歌うソロ曲「薄紅」を、菅原の声を合成して歌ったものがアップされたこと。ビリー・バンバンを知らない若者たちが注目し、「本人は歌わないのか」という声に、ピアノ伴奏だけで「薄紅」をしっとりと歌い上げニコニコ動画にアップしたところ、賛辞が殺到した。

71年に「白いブランコ」でデビュー。72年には「さよならをするために」もヒット。だが、76年にビリー・バンバンは解散する。「音楽的に合わなかった。それに性格も。兄貴は豪快に見えるけど、意外と繊細。スタジオの端っこで語学とかの勉強をしているような感じだった。こっちはセッションをやっているのにね(笑い)」。

ソロになって、81年に「琥珀色の日々」がヒット。サントリー「トリスウイスキー」のCMソングに起用され、雨降る京都の町を子犬が歩く「雨の子犬」はカンヌ国際広告映画祭のCM部門で金賞を受賞した。84年にビリー・バンバン再結成。「おふくろから『兄弟なんだから、仲良くやってよ』って言われてね」。

87年に麦焼酎「いいちこ」のCMプロデューサー河北秀也氏と出会う。いまに続く「いいちこ」のCMソングに起用された。「これがデカかった。『いいちこ』のポスター展に行って、『さよならをするために』を歌ったんだけど、僕の声と『いいちこ』の透明感が一致した。『いいちこ』をイメージして、何曲も書くうちに分かってきた。それまでは労働者が仕事を終わってから飲むイメージだったのを変えて、女性も飲むようなお酒にした。07年には『また君に恋してる』にも出合ったしね」。

14年に大腸がんの手術をしたが、今は元気いっぱい。同年に脳出血で倒れた兄の孝も復帰して、一緒にステージを務める。「ニコニコ動画のおかげで、今までのファンだけじゃなく、20代や30代のファンもライブに来てくれるようになった。これからも、ずっと歌っていきたいね」と笑顔を見せている。

◆菅原進(すがわら・すすむ)1947年(昭22)9月21日、東京・国立市生まれ。66年青学大在学中に友人と4人組のビリー・バンバン結成。69年に兄・孝との兄弟デュオで「白いブランコ」でデビュー。72年「さよならをするために」でNHK「紅白歌合戦」出場。76年解散。81年ソロで「琥珀色の日々」がヒット。84年再結成。07年「また君に恋してる」発売。