ハードロックバンドDEAD DENのギタリスト、足立“YOU”祐二さんが6月16日、敗血症で亡くなった。56歳だった。

DEAD ENDはハードロックの中でも異色のバンドだった。モーリー(ボーカル)のワードセンスとその世界観、そしてYOUさんの独特な音使いは、少なくとも自分にとって唯一無二の存在だった。アマチュア時代にリリースした「DEAD LINE」は1万枚限定で発売したが、即完売。当時手に入れることが出来なかった。同アルバムは後にCD化され、今でも聞き続けている。

大学進学で東京に出てきたが、夢はプロのミュージシャンになることだった。そんなある日、友人を介して1度だけ、YOUさんと話したことがある。記憶が確かであれば、DEAD ENDとしてメジャーデビューする直前だった。

当時インディーズの頂点に立っていたYOUさんに会えるということで、妙に緊張していたことを覚えている。あまりにも多くの時間が流れてしまったため、詳細は覚えていないが、2つのことを記憶している。1つは、当時のバンドでDEAD ENDのコピーをしたことを話すと「コピーもいいけど、オリジナルにこだわった方がええで」と言われたこと。もう1つは、「プロになりたいんやったら、型にはまったらあかん」と言われたことだ。

YOUさんのギターはその言葉通りだった。ライブでレコーディング通りのソロを弾くことはなく、その都度変幻自在のギターソロでファンを楽しませ続けた。音質へのこだわりも相当だったと聞いている。

亡くなる2日前にブログを更新。「早く、世の中が落ち着いて、何の心配も無くなったら、また、みんなで集まりたいなーなんて思ってるんだけど、それまでは、音楽に没頭したいと思っておりまーす」とつづっている。残されたファンとしては、無念でならない。

あの日から約1カ月がたとうとしているが、ほぼ毎日、DEAD ENDを聞き続けている。【川田和博】