日本テレビの演出家の佐藤東弥監督(61)が19日、自身のブログを更新して、18日に30歳の若さで亡くなった三浦春馬さんへの思いをつづった。

佐藤監督は、三浦さんが出演した「14才の母」「ごくせん 第3シリーズ」「サムライ・ハイスクール」などのディレクターを務めている。

06年10月期の連続ドラマ「14才の母」で、当時16歳の三浦さんは、中学2年生役の志田未来を妊娠させてしまう1学年上の恋人役を演じた。

佐藤監督は「学校の制服を着て現れた彼は、シャイだけど大変礼儀正しい少年だった。自分を必要以上に大きく見せようとしない、自然体な様子に好感を持った。そして、笑顔が抜群に魅力的だった。中学生同士が子供をつくり産む、ちよっと冒険ともいえる企画。相手役の志田未来さんとともに、繊細に感情を表現しながら、最後まで演じ切ってくれた」と振り返った。 そして「関わった、スタッフもキャストも口をそろえてあなたとまた仕事がしたい、と言った」とつづった。

そして08年4月期の「ごくせん 第3シリーズ」で再会した時のことを「わずか2年の間に、彼は成長して随分男っぽくなっていた。沢山の現場を経験して生徒役の出演者の中ではキャリアも実力も群を抜いていて、とても頼りになった」と振り返った。

「彼が演じる役が事故に遭い意識不明のまま病院に担ぎ込まれ、同級生や担任の教師が彼の役名を呼び、泣き、混乱するシーン。段取りからカメリハ、テスト、本番までの間、彼はじっとストレッチャーに横たわり、目を閉じて動かなかった。彼は、演技する共演者たちのためにそうしていたのだ。演技とは技術であると同時に感情のコントロールでもある。経験の浅い同級生役の子たちが、気持ちを作り感情をコントロールし、少しでも良い芝居ができるように、彼はずっと静かに横たわり、物言わぬ人を演じ続けていた。彼は優しい人だった。そして、俳優仲間に対する思いやりあふれる人だった」とつづった。

そして09年10月期の三浦さんの主演連続ドラマ「サムライ・ハイスクール」についてもつづった。

「現場に笑いが絶えなかった。その度に、八重歯を見せて笑う彼の表情を見ることができた。途中、軽いけがをして、でもその事を彼は、絶対に他の人には言わないで欲しいと言った。その事で演出プランが変わったり、皆に余計な心配をかけるのが嫌だったのだと思う。忘れられない作品になった」などと振り返った。

そして「多くの人々の追悼の言葉。皆、口をそろえて言うのは、いつかまた一緒に仕事をしようと話していたのに、ということ。やっぱり、みんなそう思うんだよと、改めて思った。でも彼は、同じ共演者、同じスタッフと仕事を続けることを、あえて避けていたようにも感じる。新しいスタッフ、初めての共演者、そして新しい世界へとチャレンジングに仕事をすることを求めていたように感じる。美しく、優しく、誇り高く、前向き。彼も人間だから、そんなことばかりじゃなかったと思う。でも彼は、それを外に見せないようにしていた。それは人間として、とても立派な態度だと思う。僕は生涯彼のことを尊敬します」と締めくくった。