役所広司(64)が29日、都内で行われた第33回東京国際映画祭ラインアップ発表会見に出席した。「映画館に行こう!」実行委員会が主催する「『映画館に行こう!』キャンペーン2020」のキャンペーン・アンバサダーを務める役所は、「映画館に行こう!」実行委員会、キャンペーンとの連携という観点から同映画祭のアンバサダーも兼任する形となった。

アンバサダーは、全開の第32回は広瀬アリス、第31回は松岡茉優、第30回は橋本環奈、第29回はフェスティバルミューズとして黒木華と、女優が担ってきた。役所は「美しい女優さんがやるのに、何で俺がやるんだろう…と思ったんですけど、映画界のためになればと、ここに立たせて頂いています」と笑った。

今回は新型コロナウイルスの感染拡大で、監督や俳優、観客も含めた人の国際的移動の困難や、感染対策の徹底など多くの制約があり、例年と同じような映画祭を行うことが難しい状況となった。そのことを受けて、19年まで実施していたインターナショナルコンペティション、アジアの新鋭監督を集めた部門「アジアの未来」、日本映画の気鋭作品をそろえた部門「日本映画スプラッシュ」の3部門を1つに統合した「TOKYO プレミア2020」を設置。全作品を対象に観客の投票で決める「観客賞」を設けることにした。

役所は、東京国際映画祭について「役者として育ててもらった映画祭」と語った。コロナ禍の中の自粛期間中に思っていたことについて聞かれると「実際、今年やろうとしていた作品がほとんど中止、中断と鳴り来年に延期された。乗り越えた時に素晴らしい作品が生まれる。スタッフは苦難を乗り越えて復活しようと頑張っている。映画を作ってきた仲間がいる。生活も大変。役者として何が出来るか、断舎利しながら考えていた」と語った。

役所は「映画館で暗闇になる瞬間のドキドキ、大きなスクリーン、音響は、家では体感できない。観客の一体感は、映画館でしか経験できないこと」と映画館の素晴らしさを強調。その上で「配信なども便利で、僕も家でDVDとか見たりするんですけど、映画館に来て違うな、良かったと実感する。映画とはそういうもの。1度、テレビで見た映画でも、違う形で経験できる気がします」と訴えた。