新型コロナウイルス感染拡大で今年公開予定だった多くの新作映画の公開を延期したり、断念しているウォルト・ディズニー・カンパニーが、今後はディズニー+をはじめとする配信サービス向けの作品を最優先に製作していくことを表明した。

コロナ禍で需要が増えた配信サービスの成功を受け、新たに配信コンテンツ向けの新部門メディア&エンターテイメント・ディストリビューションを発足することを発表し、今後製作する作品は劇場公開にしばられることなく、ストリーミングでの配信やレンタル販売する可能性があるとの新たな方針を示した。

将来的に劇場で公開する作品がなくなることはないとしながらも、今後はより配信向けの作品の製作に比重を置くことになるという。ディズニーは今年3月に公開予定だった実写「ムーラン」やアニメ「ソウルフル・ワールド」の劇場公開を断念し、ディズニー+での配信に切り替える決断をしている。

一方で3月中旬以降多くの映画が公開延期や中止となった影響で、映画館も深刻な被害を受けている。世界最大の映画館チェーンAMCエンターテインメント・ホールディングスが、破産申請の可能性があることが明らかになった。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月中旬に全米の映画館が閉鎖され、現在もロサンゼルスやニューヨークなど大都市では営業の再開目途は立っておらず、およそ3割の映画館が閉鎖されたままの状態が続いている。

また、営業再開後も新作映画の公開がほとんどない状態が続いており、AMCはこのまま映画館に観客が戻らなければ年内もしくは来年早々に手元の資金が尽きる可能性があると米FOXテレビなどが伝えている。

(ロサンゼルス=千歳香奈子)