窪塚洋介(41)が17日、東京・丸の内TOEIで行われた映画「みをつくし料理帖」(角川春樹監督)公開記念舞台あいさつで、作品を通して貫かれる“間”のすばらしさを、YouTubeと対比する形で熱く語った。

窪塚は劇中で、主演の松本穂香(23)演じる女料理人の澪に、料理人としての方向性を示し、思いを寄せられる御膳奉行・小松原を演じた。小松原と澪が俎橋(まないたばし)の上で別れるシーンは見どころの1つで、360度回転して移動するカメラで撮影した。窪塚は「角川監督と最初にお会いして、台本をもらう前の時点で『あそこはレールを引いて』とおっしゃっていて。あそこって、どこだろうと思ったら当日、この日が来たかと思った。夜で寒くて雨待ちをしながら臨んだ」と振り返った。

そのシーンでセリフを交わしたのは約30秒だが、会話がない部分が1分30秒程度に及んだ。窪塚は「穂香ちゃんが、どう思っていたか分からないけれど、今って、すごく間を詰めるじゃないですか? 全く違う媒体ですけど、YouTubeの方々は、自分がしゃべっている間も詰めたりする。要は、何も考えさせたくない人と何も考えたくない人が、見ているんだと思う」と持論を展開した。

その上で「僕らって、音楽もそうなんですけど、そこに間があるから、いろいろ感じられたり、考えられたりすると思うんですね。間を愛おしみ、慈しめる人でありたいとも思うし、そういうものを先に残していきたいという思いが、すごく強いので、あのシーンを穂香ちゃんとやることが出来て、とてもうれしかった」と感慨深げに語った。現代のトレンドになっているYouTubeにはない、間を大切にしたいと強調した一方で、「うちの息子も見ているので何とも言えないんですけど」と、YouTubeが普及している現実も否定はしなかった。

一方、松本はそのシーンについて「監督から撮影前に『せりふ、2人の会話は特にないんだけど目で会話して欲しい』と、ずっと前から言葉としてもらっていた。(現場に)行ってみて、そこで感じたものが映っていればいいなと。事前に考えて挑んだシーンではなかった」と振り返った。

窪塚は、360度回転して移動する円形レールでの撮影について、01年に同じ東映配給の主演映画「GO」(行定勲監督)でも円形レールを使ったと振り返った。「山崎努さんと殴り合う公園の砂場のシーンでの円形レールと、全然、違う円形レールだなと。男と男、男と女で対峙(たいじ)するのと、(向き合う役どころが)父親であるのと思いを寄せる人では、こんなにも気分が違うものだと思ったとか、思わなかったとか」と笑った。