狂言師野村萬斎(54)主演で作家アガサ・クリスティ原作、三谷幸喜氏(59)脚本のフジテレビのスペシャルドラマ「死との約束」が来年放送されることが14日、分かった。野村、クリスティ、三谷氏の同局作品は15年「オリエント急行殺人事件」、18年「黒井戸殺し」に次いで第3弾。

「黒井戸-」以来3年ぶりのドラマ出演となる野村は名探偵・勝呂武尊役。休暇で訪れた和歌山・熊野古道で出会う“婦人代議士”を初共演となる鈴木京香(52)が演じる。勝呂はホテルで「こうなったら殺すしかないんだっ」という声を聞くが、大金持ちの一家・本堂家の夫人が殺される。そして家族全員に動機があり、アリバイがあった。

三谷氏は「『死との約束』は、アガサ・クリスティの隠れた傑作です。ポワロ物で、僕がいちばん好きな作品です。事件が起こるまでのワクワク感。真相が明らかになっていくドキドキ感。そしてラストのあまりに意外な犯人。今回も原作のテイストを損なわないように脚色しました。キャスティングも完璧です。極上のミステリーを堪能あれ!」と話している。

野村は「今回は、トリックが前作とは全く違っていて、ある意味、ご覧の皆さんが“裏切られる展開”かもしれません。そして、勝呂がシリーズを追うごとに、人間味を増してきている気がしています。今回は女性に囲まれているという、とても華やいだ心地がしております(笑い)。毎回、謎解きでは長いシーン、長いセリフがありますが、監督からも“3年に1度の苦行をしてください”と言われています(笑い)。もちろん、そこが見せ場ですが、僕にとっては一番大変なところでもあります」。

鈴木は「名探偵・勝呂のかつての知り合いだった女性という役。台本が待ち遠しかったです。映画『死海殺人事件』も見たのですが、エキゾチックな舞台を日本に置き換えても違和感なく、より一層面白い。三谷さんの脚本の素晴らしいところだなと思いました。政治家は1度やってみたかった役でもあります。昭和30年代の女性政治家は、きっと当時では珍しく、目立つ存在だったと思うので、その役を演じられるのはとても光栄なことです」と話している。

他に比嘉愛未、我が家の坪倉由幸、長野里美、阿南健治ら。

「死との-」はミステリーの女王・クリスティ(1890~1976年)が1938年(昭13)に発表したイスラエル・エルサレムを舞台にした作品。88年にはピーター・ユスティノフ主演で「死海殺人事件」として映画化されている。日本での映像化は初めて。舞台を日本の世界遺産・熊野古道、時代を昭和30年代に置き換えている。