M-1グランプリー2020の決勝が20日に行われ、マヂカルラブリーが優勝した。優勝決定戦に進んだのは、他においでやすこが、見取り図だった。

担当として事前に予想をしたのだが、マヂカルは2番手○、見取り図は3番手▲。本命◎に推した錦鯉は4位だったのだから、まずまずの結果だろう。

意外だったのは、決勝1回戦をトップで通過したおいでやすこが。準決勝でも面白く、高得点を付けていたのだが、決勝予想では最初に外した。

理由は、まずこの大会のためだけにピン芸人同士が組んだ即席コンビであること。次に、はっきり言ってピン芸人としてのおいでやす小田(42)とこがけん(41)の面白さが分からなかったからだ。小田は毎年3月に行われる、1人芸日本一決定戦「R-1グランプリ」で決勝に進出してくることが多いのだが、実はあまり笑ったことはない。

今回の準決勝でも、R-1の出場規定が芸歴10年以内となって出場できなくなった怒りを笑いに変えていた。お笑い事情通が集まった準決勝ではともかく、決勝ではつらいと思っていた。それが、1回戦での見事な音ネタ。2本のレベルをそろえることが難しかったようだが、お見それしましたと頭を下げたい。

見取り図にも言えるのだが、M-1は決勝1回戦、そして優勝決定戦の2本のネタのレベルをそろえるのが本当に難しい。

15年に5年ぶりに復活したM-1で優勝したトレンディエンジェルは、敗者復活戦から3連続で大きな笑いを取った。当時、インタビューした時に、あれこれ聞いたのだが、トレエンは「ハゲ」とか「斎藤さんだぞ」のギャグで漫才の大枠があって、そこに時事っぽいネタを融合させていたので、比較的レベルをそろえやすかったんだと思う。しかも、時事ネタをチェックするのに日刊スポーツを参考にしていたというのだから、さすがだ(笑い)。

過去にもジャルジャルは決勝1回戦で斬新な漫才の形を見せて、笑いを取っていた。優勝決定戦になるとレベルと言うよりも、その形のインパクトが薄れて優勝には届かなかった。

そういう疑問を持っていたので、優勝後の会見でマヂカルラブリーにネタのレベルを2本そろえることの難しさについて質問してみた。マヂカルは準決勝で優勝決定戦と同じ「つり革ネタ」を披露していた。だが、決勝1回戦では、それより少し弱い「フレンチネタ」を披露した。そして決定戦をつり革ネタで大爆笑をさらった。

決勝1回戦では、4番手に見取り図が登場。そして、おいでやすこがが5番手で、衝撃の歌ネタでトップに立った。1位おいでやすこが、2位見取り図で6番手に登場したのがマヂカルだった。

マヂカルのボケの野田クリスタル(34)は「もし『つり革ネタ』を披露することなく決勝1回戦で敗退したら悔いが残ると、先に演じることも考えた」と明かした。だが結局は「優勝するには『フレンチネタ』→『つり革ネタ』の順番しかないと予定通りで行きました」とツッコミの村上(36)が説明してくれた。

コロナ禍で行われた今年のM-1グランプリ。「マヂカルラブリーの形は漫才ではない」とか、いろいろ論議を呼んでいるが、笑かしたもん勝ちであることは間違いない。

そして、今年も松本人志が優勝決定戦で入れたコンビは優勝できなかった。おいでやすこがだ。これで5年連続だ。

お笑いの見方は人それぞれだと、強く認識させられた。