新型コロナウイルスの急速な感染拡大で、大阪、京都、兵庫の3府県知事は、9日に緊急事態宣言の再発令を国に要請した。だが、菅義偉首相は「数日の状況を見る必要がある」と慎重な姿勢を崩さない。発令はあるのか、ないのか-。どう対策していけばいいのか-。関西のエンタメ業界は揺れる。今後の対応に追われる中、小規模映画館が取材に応じた。

   ◇   ◇   ◇

大阪市淀川区にある「シアターセブン」と「第七藝術劇場」で映画の番組編成を担当する小坂誠さんは「映画館については中途半端な要請というような、お願いといった形になっていますので、どこまで…。もうちょっと、はっきりした要請であれば、こちらも検討はしやすいんですけど…」と話す。

映画館は午後8時までの時短営業への「協力の呼びかけ」にとどまっている。小坂さんは「納得できるかどうかは別として、要請が出れば、こちらも計画を立てやすい。『応じてください、でも応じなくても大丈夫です』みたいな中途半端なものですので…」と繰り返した。

大阪府の吉村洋文知事は緊急事態宣言再発令を要請後、14日から2月7日まで首都圏と「同等の措置を取る」とした。これを受けて、両館でも対応を検討中。小坂さんは「例えば16日の土曜日とか、いつからになるか分からないけど、20時以降の営業についても閉館という形でできるかどうかを今、調整しているような段階」と明かした。

上映の終了時間が午後8時を超えないようにするなどの対策をとる方針だ。

京都市南区の「京都みなみ会館」も対応を急ぐ。吉田由利香館長によると、営業時間の短縮に合わせて15日以降のスケジュールを組み直しているという。

「午後8時までに終われるように、もともと決まってたもので漏れてしまうのもあるけど、できるだけ8時くらいまでに終わらせられるように組み替えたりしています」と語った。

緊急事態宣言発令を前に「開けていてもお客さんは来なくなるでしょうし、大変だなっていうのはあるけど、仕方ないので…」と話している。

小規模映画館は、メジャー映画を手がける大手映画館とは一線を画し、独自で選んだ作品を上映する。映画人、映画ファンの熱量に支えられており、観客との距離が近い舞台あいさつも恒例だったが、その計画も再考を余儀なくされている。【星名希実】