お笑いタレント東貴博(51)が駒大法学部政治学科を社会人特別入試で受験して合格したことが26日、分かった。日刊スポーツの取材に応え、4月からの大学生活について話した。

受験は今月10日に小論文と面接で行われた。「今年はコロナだろうと、コロナ関連を重点的に勉強していたんですが、小論文のテーマは『正規雇用と非正規雇用の格差について、政府にどのような対応を求めるか』みたいな感じで、すごくあせりました。手応えはなかったんですが、先週末に合格通知書が届きました」と声を弾ませた。推薦書は、自身が主宰するお笑い塾「笑塾」の元教え子で、現在は放送作家の駒大OBに書いてもらった。

元々は大学進学を目指していたが、浪人中の1988年(昭63)にお笑いタレントだった父の東八郎さん(享年55)が亡くなったことで断念していた。「兄弟が5人もいて、大黒柱が亡くなって、大学どころじゃない働かなくちゃと、一獲千金を夢見て欽ちゃん(萩本欽一=79)のところに行って芸能界入りしたんです。それなりに仕事にありつけるようになって、もういいやと諦めていたんですけどね」と話した。

再び大学を目指すきっかけは、師匠の萩本だった。15年に萩本が駒大仏教学部に73歳で入学した。東は「コロナで時間ができて、欽ちゃんが5、6年前に大学に行ったのを見て行けるんだと思っていた。昔、欽ちゃんに付いたとき、45歳くらいの欽ちゃんが塾の先生を呼んで家庭教師にして大学受験を目指していた。それを70歳をすぎて実現させたのを見ていたから、自分もとなりました」と振り返った。

父の八郎さんの言葉も東を後押しした。八郎さんからは「お前には大学に行ってほしい。俺は小学校しか出ていないんだけど、大学に憧れがある」と言われていた。東は「俺のおやじは小卒なんだとびっくりした。中学は入ったけど、卒業していない。それでも、豪邸を建て、一家を養っていてすごいなと思った」。父の思いを受けて専大付高に進学して、自宅のあった東京・浅草から杉並まで通っていた。「でも、(川崎の)生田の専大までは2時間半もかかってね。それで、青学とか6大学も憧れて受験して、失敗して浪人していた。そういう、おやじとの約束もあって、いつか大学に行きたいと思っていた」と話した。

今年4月に小学校に入学する長女の詩歌(うた)ちゃん(5)の“お受験”も刺激になった。「勉強すると子供が成長するのが分かった。これから子供が小学校に入って、パソコンを覚えて『教えて』って言われたときに教えられなくちゃいけないと思った。このタイミングで、アナログを脱して、社会の仕組みもちゃんと覚えようと思いました」。夫人のタレント安めぐみ(39)について、東は「合格にびっくりしていましたよ。受からないと思ってたんでしょう(笑い)。(娘と)2人とも、よく頑張るねと言ってました」。

現在、週に4本のレギュラーを持つ。「今はロケ取材もないし、生放送も火曜と木曜と、月曜に隔週。スケジュール的には、午前中に大学に通えば問題はない。当分はリモートになるかもしれないけど、駒沢のキャンパスに通うのが楽しみですね。クラブとかサークルにも入ってみたいですね。欽ちゃんが74歳で大学生になって、僕は51歳。いろいろなことに挑戦してみたい」と話している。

29日には出演する舞台「よみがえる明治座東京喜劇-ニッポン放送『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』全力応援!!-」が初日を迎える。前日に企画を担当する放送作家の高田文夫氏(72)に報告した際に「まじか、お前すごいな。よくやった」と褒められたことを明かして「すごく喜んでくれた。そして『何? お前、せんだみつおに憧れてるの』って言われたけど、欽ちゃんだよ(笑い)」と、駒大出身の先輩の名前を挙げた。

◆東貴博(あずま・たかひろ)1969年(昭44)12月31日、東京・浅草生まれ。88年に萩本欽一に弟子入り。94年に深沢邦之とお笑いコンビTake2結成。フジ「タモリのボキャブラ天国」などで“下町のプリンス”として人気に。09年に劇団「FIRE HIP'S」旗揚げ。11年12月にタレント安めぐみと結婚。15年に、父の故東八郎さんが主催したお笑い塾「笑塾」再開。現在のレギュラーはテレビ東京系「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」、CBC「なるほどプレゼンター!花咲かタイムズ」、ニッポン放送「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など。173センチ。血液型O。

◆主な駒大出身の著名人 お笑い芸人では、あばれる君(34)やティモンディ前田裕太(28)らがいる。萩本欽一(79)は15年4月に社会人入試制度で入学したが、その後中退した。ほか、歌手の久保田利伸(58)ら。野球やサッカー、駅伝などスポーツが盛んで、元DeNA監督の中畑清氏(67)、元日本代表FW巻誠一郎氏(40)らプロ野球選手やJリーガーらを数多く輩出している。