1月に米首都ワシントンDCで起きた連邦議会議事堂襲撃事件を扇動したとして弾劾起訴されたトランプ前大統領に対する弾劾裁判の審理が9日から始まったが、一部支持者の間で3月4日にトランプ氏が再び大統領に就任するとのデマが広がっている。極右の陰謀論Qアノンの熱狂的な支持者の一部は、1871年に成立した法律によって米国はひそかに国家から企業に変わったため、それ以降に就任したすべての大統領は非合法だとする過激主義運動ソブリン・シチズン運動を支持している。彼らはグラント第18代大統領が最後の正当な米国の大統領だと主張しており、トランプ氏は同大統領が就任したのと同じ3月4日に第19代大統領として復活すると信じられている。

米フォーブス誌によると、この陰謀論を端にホワイトハウス近くにあるトランプ一族が経営するトランプ・インターナショナル・ホテルの3月3日~4日の宿泊料金が高騰しているという。通常1泊476~596ドルの宿泊料金がこの2日間に限って、3倍近い1331ドルになっていると伝えている。同ホテルからコメントは出されていないが、周辺ホテルの宿泊料には大きな変化は見られず、値上げは同ホテルだけのものだという。

同ホテルは過去にも支持者が集まる日をターゲットにした値上げを行っており、襲撃事件が起きた先月6日とその前夜の宿泊料は一番安い部屋でも1泊8000ドルだったと同誌は伝えている。その後のバイデン大統領の就任式前後の宿泊料金の実に3倍以上だったことも話題になっており、多くの支持者にとってトランプ大統領復活の日とされる重要日に再び支持者でホテルが大繁盛することが期待されている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)