映画の配給や出版、映画館やレストランの経営などを行う「アップリンク」は22日、2004年(平16)に東京・渋谷で開業した映画館「アップリンク渋谷」を5月20日をもって閉館すると発表した。

閉館の理由として、設備や機材の老朽化による再投資を考えなければならない段階で、新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われ、再投資をしても先が見えない状況となったと説明した。

浅井隆代表は公式サイトで「四半世紀以上、渋谷のアップリンクが続けてこられたのは、観客の皆さんはもちろんのこと、そこで、表現してくれたアーティスト、企画者、映画監督、配給会社、そしてこれまで、運営を支えてくれた全てのアップリンクのスタッフのおかげです。本当に、本当にありがとうございました」と感謝した。

浅井氏は1987年(昭62)に映画の配給会社として1人でアップリンクを創業後、映画館の運営など業務を拡大してきた。同氏は「1995年、神南に『アップリンク・ファクトリー』という名で、イベントスペースをオープンしました。(中略)宇田川町に2004年に移転し、『アップリンクX』と名付けた日本一小さな映画館としてスタートしました。その後、カフェやギャラリー、3スクリーンへと拡大し、インディペンデント・カルチャーのホットスポットとなるべく「アップリンク渋谷」として「ファクトリー」から数えると26年間渋谷を拠点として活動してきました」と経緯を説明した。

そして「設備や機材の老朽化による再投資を考えなければならない時に、コロナ禍に襲われました。(中略)昨年は助成金、補助金もあり、ぎりぎり生き延びることができましたが、今年はさすがに限界を超える状態で、再投資をしても先が見えない状況となり、閉館という決断を余儀なくされました」と閉館の理由をつづった。

20年6月には、浅井氏からハラスメントを受けたとして、元従業員が東京地裁に同氏と同社に対して損害賠償などを請求する訴訟を起こされ、同10月30日に和解が成立している。浅井氏は「弊社のハラスメントの問題では皆様にご迷惑とご心配をおかけし、信頼を裏切るような形になってしまったこと、申し訳ありませんでした。引き続き、ハラスメントのない会社づくりに向け、社長及び従業員一同取り組んでいきます」と、改めて謝罪し、ハラスメント撲滅を誓った。

今後は「アップリンク吉祥寺」「アップリンク京都」「アップリンク・クラウド」を継続するという。