尾野真千子(39)が5日、東京・よみうりホールで行われた映画「明日の食卓」(瀬々敬久監督、28日公開)完成報告会で「人生の予行演習と思って」息子を持つ母親役を楽しく演じたと語った。

「明日の食卓」は、椰月美智子氏の同名小説の実写化作品。住むところが違いながら、それぞれが「石橋ユウ」という同名の10歳の息子を持つ3人の母の忙しくも幸せな毎日が、ささいな出来事をきっかけに崩壊し、3人それぞれが無意識に「ユウ」に怒りを向けてしまう物語。尾野真千子は、静岡の実家の敷地内に自宅を建てて東京に新幹線通勤する夫を支えながら、義母の視線を気にしつつ、優を育てる専業主婦石橋あすみを演じた。

尾野は演じた役どころについて聞かれると、子育てに悩む中、演じるあすみが宗教の勧誘までされるという物語に苦労したと吐露。「いろいろ起こりすぎて。抱えている問題が多い。でも現実を考えると少ないのかなと…まぁ、私に出される宿題が多すぎるって感じ。家のこと、だんなさんのこと…宗教まで入ってきますか? と…背負わされてつらかった」と語った。

その上で「つらかったですけど、前向きに考えた時、現実のお母さんは、もっとつらいかなと思って、やっていました」と前を向いた。

さらに、1児の母を演じての思いを聞かれると「楽しく、やっていました。経験していないことばかり。子供を持つのはまだですし、予行演習…これから、もしかしたら、そういうことが起こるかも知れない。人生の予行演習と思って楽しくやっていた」と女性として、将来的に子供を持つ、母親になることへの思いをにじませた。

劇中では、主演の菅野美穂(43)は神奈川在住で悠宇ら2人の息子を育てるフリーライター石橋留美子を、高畑充希(29)は、大阪在住でアルバイトしながら勇を育てるシングルマザー石橋加奈を演じた。3人の女性は、それぞれパートに分けて撮影が行われたため、共演シーンはなく、尾野はラストの撮影だった。

尾野は「菅野さんから差し入れがあったせっけんが置かれていたり、高畑さんは、こうだったとか聞いて…、3人とも、違うものをちゃんとお届けしないとというプレッシャーとワクワクがありながら(撮影した)。みんな、すごいことやっていたんだなぁと試写で感動しました」と試写を見た感想を語った。

息子を演じた柴崎楓雅(13)は「僕の役は二面性があって毎日、難しかった。初めてお会いしたのがスチール撮影で、トランプしたり、全力で遊んでくれて…楽しくて、最後まで乗り切れた」と、尾野と父役の大東駿介に感謝した。尾野は、柴崎の回答に「100点や。でもね…大人以上に大人。この子から話しかけてくれたり、お芝居も『分かります、やります』と…どこからエネルギーが出てくるんだと。見習わないと」と柴崎をたたえた。