柳亭市馬落語協会会長(59)春風亭昇太落語芸術協会会長(61)らが18日、都内で、クラウドファンディングによる「寄席支援プロジェクト」について会見した。来月30日までに5000万円を目標に、都内の寄席5軒を支援する資金を募る。

昨年度の都内寄席の売り上げは前年からマイナス70%。今年4月は前年の50%。5月上旬は3回目の緊急事態宣言により休業を余儀なくされた。

市馬は「去年の3月くらいから、寄席の世界だけでなく大変なことになった。寄席というところはただ芸を披露するところじゃない。土台というか、修業して飯を食えるようになるところ。寄席がなくなるなどということは考えられない。寄席でお茶を入れる前座のためにも、これから落語家を目指す人のためにも広くお力を借りたい」。

昇太は「寄席という場所は、我々落語家にとっては特殊な場所。仕事場というよりは道場のような一面がある。無名の頃から前座として上がって、その中で習得したものを生かしている大事なもの。廃業もやむなしという声を聞くと、落語家の方で何かしなくてはと思う。大衆文化ですから、落語が好きな人にお願いする。別に仲が悪いわけじゃないけど、落語協会と落語芸術協会が一緒に何かやると言うだけでも異常事態。一度なくなったら、多分、もう1度やりましょうと手を挙げる方はいない。ぜひ、守っていただくためにご協力いただきたい。寄席がなかったら、自分の師匠以外の芸を見られない。お茶出しをしながら落語家として生きていくルールを学ぶ場所。5000万円というのは多いと思うかも知れないけど、それを5軒に分配する。もっと必要だけど、集まらなかったらカッコ悪いから、とりあえず(笑い)」。

落語芸術協会参事の三遊亭小遊三(74)は「はなし家にとって、道場であり、ショーウインドー。芸を磨かせていただいて真打ちになって、ショーウインドーに飾られるようになる。一心同体でございます。休業というのは、私たち切羽詰まったところにいなかったのですが、もっとも切羽詰まっていたらはなし家になっていないのでありますが、寄席が危ないというのを実感しました。寄付を募るのも、日本はいい国だなと思うから。昨日、横浜の方で6000万円を寄付した人がいたと聞きました。小学生の時からコツコツためたという。ぜひ、そういう人を見つけたいと思います。こんなこと言いたくないですが、年内もちますように、よろしくお願いいたします」。

落語協会真打ちの春風亭一之輔(43)は「高校生の時にふらっと入った寄席。のんきな人がダラダラと生きているはなしを聞いて、こういう世界で生きてみたいなと思った。外部の人から見るとやぼなことをしてるなと思われるかもしれないが、コロナに粋は通じない」と話した。

支援は3000円から1000万円まで求める。1000万円を寄付した人への返礼について、昇太は「私が落語をしましょうか。価値があるのかな」と苦笑い。小遊三が「できれば匿名で」としゃれた。

クラウドファンディングの受け付けは(http://readyfor.jp/projects/yose)から。6月30日午後11時まで受け付ける。