新垣結衣(32)が19日、自身の公式サイトで星野源(40)との結婚を発表した。新垣が女性としての幸せなどを語った16年の記事を振り返ります。

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悩みは結構ある。女優新垣結衣(28)。「ガッキー」の愛称でデビュー以来、幅広い年齢層に支持され、多くの作品でヒロインを演じてきた。世間が抱くイメージは「明るくポジティブ」。実はそのギャップに戸惑った時期もあった。今も本番前は緊張する。それでも前に進み続け、自分なりの答えを見つけてきた。

 

ファッション誌の読者モデルの審査でグランプリに輝き、モデルとしてデビューしたのは、中学1年生の夏だった。16歳で深夜ドラマに出演して、女優としてのキャリアがスタート。それから11年が過ぎた。

「いろいろ経験させていただきましたが、あっという間でした」

 性別に関係なく「かわいい」と好感度が高い。男性を対象にしたアンケート「恋人にしたい女性有名人」では常に上位にランクインする。そうした結果は、演じた役柄が影響していると思っている。

「ありがたいです。テレビに出ている時は、誰かを演じていることが圧倒的に多いので、それだけすてきな役をたくさんいただいてきたんだと感じます」

一方、役柄と素の自分にギャップも感じている。

「最近はバラエティーにも出させてもらって、素の自分を小出しにして出すようにしています。(イメージを)期待されすぎると、いざという時につらいなって。がっかりされちゃったら嫌だなと思って」

あるバラエティー番組に出演した時、シャワーは毎日浴びるが、掃除や湯だめのプロセスがあるため「湯船には入りたいけど、面倒くさい」と告白したこともある。

世間が抱くイメージに自分を近づけようと努力したこともある。

「実は私、そんな明るくないんです。若干暗いくらい。でも今まで演じてきた人って、すごく一生懸命で元気でパワフルな人が多かった。私は、演じてきた人たちの行動力に憧れを抱いているくらいなんです。普段から明るく振る舞うように頑張って努力はしているんですけど、あんなに明るく笑顔って感じではないですね。何か自分で言っていてむなしくなりました」

そんな告白をしている表情も明るく見える。内心抱いていることが、なかなか周囲に伝わらないタイプなのかもしれない。

「悩みは、結構あるんです。例えば、本番が怖いとか。すごく緊張しちゃうんです。やればやるほど、責任を感じれば感じるほど怖い。でもそういうのが周りの人に見えないらしくて。本番前にセリフをきちんと言えていたのに、本番が始まると、力んで言えなくなったりするんです」

今回のインタビューは、ある生放送番組の本番前に行った。

「実は今すごく緊張しているんです。本番2時間以上前からガチガチです」

これまで多くの映画やドラマで主演を務めてきた。役柄も、教師や弁護士、狙撃手、母親など幅広い。放送中のTBS系主演連続ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(火曜午後10時)は男女の「契約結婚」がテーマ。ある事情から契約結婚をして、家事全般を請け負うことになった家政婦を演じている。

「本当の奥さんではないので、落ち着いた感じや、主婦的な感じは出さないでいこうと決めています。あくまでも従業員として住み込みで働いているという意識で演じています。距離感が難しいです。一緒に住んでいるけど、雇用主と従業員という関係なので、お互いの本当のプライベートには踏み込まないで…みたいな。そういう絶妙な距離感や違和感を楽しんでもらえればと思います」

デビューから順調にキャリアを積んでいるように見えるが、実は壁にぶち当たりながらここまでやってきた。

「20歳の頃、自分が何をやりたいのか、まったく分からなくなっちゃったんです。実年齢よりもすごく年齢が上の女性の役をやったことがあるのですが、その時、自分よりも年上の感覚というものが分からなくなって、すごく不安になってしまって。今も、そこまで大きくはありませんが、演技への悩みは毎回のように感じています」

抱えた悩みは、その都度、演出家や周囲の人にアドバイスをもらって克服してきた。

「デビューしたころからすると、責任感は強くなったと思います。主役をやらせていただくことが多いので、成りゆきで良いものになれば良いなと言うより、主役としてやらせてもらうのなら、少しでも良いものにしなきゃという風に強く感じるようになりました」

演技をする時の意識も変わった。

「10代のころは、頭が固く視野が狭くて、自分の感覚で考えることが多かったです。20歳のころの経験があって今は、監督や周りで見ている人たちに委ねることもできるようになったかな。やっぱり監督が一番客観的に見ていると思うんです。だからその言葉を信じようと思うようになりました。同時に、いろんな案をプレゼンするようになりました。『こういう言い方だと、どうでしょうか』みたいな感じで」

19歳の時、日刊スポーツのロングインタビュー「日曜日のヒロイン」に登場している。将来の自分について「自信を持って『私を見てください』と言えるようになりたい。今は自信がない。自分が楽しめて、見てくれた人も何か感じ取ってくれるような存在になれたらいいな」と話していた。

「懐かしいですね。自信は今も持てていません。この先、持てるものでもないと思います。今は作品ごとに何かを得たいなと思っています」

 今後について聞いた。

「目の前のことに必死なので、それどころではないというのが本音です。もっとリラックスしてやっていれたらいいなと思います。演じるなら、楽しくてポジティブな話が好き。ラブコメディーみたいなものを演じ続けていけたら楽しいだろうなって思っていますね」

今も懸命に走り続けるガッキー。仕事に向き合う姿も魅力的だが、女性としての幸せについても最後に聞いた。

「結婚ですか? 5年後、33歳くらいになったら視野に入れていたいですね」

 

▽「逃げるは恥だが役に立つ」で共演中の星野源(35)の話 会うまではキラキラしたスターというイメージだったんですが、実際にお会いしたら、すごく普通のかわいい女の子で、それがとてもすてきだと思いました。大スターなのに、まったく気取っていないし、話しかけたらフレンドリーに話しかえしてくれるし、かといって人の領域に踏み込むようなことも決してしない。普通ということを忘れない人。すごく、すてきです。

 

◆新垣結衣(あらがき・ゆい) 1988年(昭63)6月11日、沖縄県生まれ。01年「ニコラモデルオーディション」グランプリ受賞でモデルデビュー。06年「ポッキー」CMで注目される。ドラマは出演「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」「パパとムスメの7日間」「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」「リーガル・ハイ」「空飛ぶ広報室」など。07年映画「恋空」で日刊スポーツ映画大賞新人賞、日本アカデミー賞新人俳優賞、ブルーリボン賞新人賞。168センチ、血液型A。

(2016年10月23日付「日曜日のヒロイン」より)