濱口竜介監督(42)の新作長編映画「ドライブ・マイ・カー」(8月20日公開)が、世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に出品されることが3日、決まった。同日、フランスで開催された会見で発表された。「ドライブ・マイ・カー」は、作家・村上春樹氏(72)の短編小説の映画化作品。

劇中で主人公家福(かふく)悠介を演じる西島秀俊(50)は「濱口監督は、恋人や友人同士の心の機微を厳しく、美しく描いてきました。今作品、村上春樹さん原作の映画『ドライブ・マイ・カー』では家族について、そしてより遠い人との関係について描いています。絶望の果てに人は再生出来るのか。撮影をしながら監督はずっと問い続けていたと思います」と作品について語った。出演作品がカンヌ映画祭コンペティション部門に出品されるのは初めてといい「監督が人間について深く思考し愛情を注いだ『ドライブ・マイ・カー』のカンヌ映画祭コンペ部門選出を心から嬉しく思います」(原文のまま)と喜んだ。

「ドライブ・マイ・カー」は、村上氏が13年11月発売の「文芸春秋」12月号に発表した短編で、同誌14年3月号まで連続で掲載した「女のいない男たち」と題した連作の第1弾で、同名の14年の短編小説集「女のいない男たち」(文春文庫刊)に収められた。舞台俳優で演出家の家福(かふく)が満ち足りた日々を送る中、脚本家の妻・音が、ある秘密を残したまま突然この世からいなくなってしまう。2年後、喪失感を抱えたまま生きる家福は、演劇祭で演出を任されることになり愛車で向かった広島で、寡黙な専属ドライバー渡利みさきと出会う。みさきと過ごす中、それまで目を背けていたあることに気づかされていく物語。みさきを三浦透子(24)、家福音を霧島れいか(48)、高槻耕史を岡田将生(31)が演じ、映画の上映時間は2時間59分に及ぶ。