世界3大映画祭の1つ、ベルリン映画祭で「偶然と想像」が最高賞の金熊賞に次ぐ審査員大賞(銀熊賞)に輝いた濱口竜介監督(42)が13日(日本時間14日)にドイツ・ベルリンで行われた授賞式に出席した。

濱口監督は「ダンケシェーン(本当にありがとう)」とドイツ語であいさつ。その後「日本語でスピーチさせていただきます」と前置きをした上で「古川琴音さん、中島歩さん、玄理さん、渋川清彦さん、森郁月さん、甲斐翔真さん、占部房子さん、河井青葉さんキャストの皆さんです。ありがとうございました。皆さんがこの物語を信頼してくださったので、今このような素晴らしい賞をいただくことができています」などと俳優、製作陣の名前を挙げて感謝。「名前ばかり伝えてすみません。でも本当にこのメンバーがチームのほぼ全員です。とても小さなチームで映画を作りました。この人たちこそがこの映画です。心から感謝を述べたいと思います」と語った。「偶然と想像」は3話構成のオムニバス映画で、濱口監督初の短編集。脚本も自ら手掛け、19年夏から約1年半をかけて製作した。

ベルリン映画祭は例年、2月に開催されるが、今回は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、3月にオンラインで業界関係者向けの試写を行った上で同5日にコンペティション部門部門の受賞作を発表。そして6月にサマースペシャルと題した上映イベントと授賞式を開催。濱口監督は12日に現地入りした。同監督は「難しい状況の中、オンラインでの上映ではありましたが3月から心遣いと温かみを感じながら(参加していました)。カルロ・シャトリアン(ベルリン映画祭のディレクター)とそのチーム、そして素晴らしい審査員の皆様にお礼を申し上げます、ありがとうございました。ありがとうベルリン!」と映画祭に感謝し、大きな拍手を浴びた。15日(日本時間16日)からは公式上映が行われ、同監督は同日のみ参加する。

濱口監督は、18年に商業映画デビュー作「寝ても覚めても」が、カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に出品。20年のベネチア映画祭では、銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢清監督の「スパイの妻」で、野原位氏とともに企画と脚本を担当。さらに村上春樹氏(72)の短編小説を長編映画化した新作「ドライブ・マイ・カー」(8月20日公開)が、カンヌ映画祭で2度目のコンペティション部門への出品が決定。近年、世界3大映画祭のコンペ部門への出品が相次ぎ、日本映画の次代を担う逸材として世界から注目されている。