小説「オルタネート」の第164回直木賞ノミネート、第42回吉川英治文学新人賞受賞など年明けから文壇をにぎわせ続けたNEWS加藤シゲアキ(33)を、土曜の連載枠「サタデージャニーズ」で取材した。

同作に関する一連の文学賞の現場取材を担当したが、加藤はその間も舞台主演、初の舞台脚本執筆など話題に事欠かなかった。多忙の中でどう小説と向き合う時間をつくっているのか、ずっと気になっていた。

加藤に時間の使い方を聞くと、「せっかちで、ボーッとできない。暇な時間が苦手」と自分の性格を説明した上で、こう答えた。

「グループの仕事や役者業は時間が決まっている。書く仕事は、書く時間は必要ですけど、考える時間の方が大事。それはいつでもどこでも、1人でもできる。そうやっていると、時間の使い方が上手だと思われるんでしょうね」

アイデアは机に向かっていても生まれず、仕事の移動中などふとした瞬間に思い付くという。小説のために時間をつくり出すというより、日々の隙間で考えを巡らせているようだ。

「多分、芸能人って思ってるほど忙しくないんです。役者でも、撮影している時間はそんなにない。台本を覚えたり体を作ったり、身だしなみを整える時間はかかると思うんですけど、物理的には忙しくないと思うんです、芸能人って。っていうか、僕が(笑い)。だから空いている時間でやるし」

アイドル、俳優、小説家といくつも顔があることに「疲れませんか?」と思わず聞いてしまったが、加藤の答えはカラッとしていた。

「疲れてますよ、いつも。すごいいろんな人に『疲れてるね』って。もう毎日言われますもん。普通なんですけど。今年ツアーと並行して舞台をやっていたんですけど、一番元気でしたね。忙しいほどハイパーになっていく、みたいな(笑い)」

休日は夜更かしに歯止めが利かなくなり、「休みがある方が疲れている」というのも、ボーッとできない加藤らしい話だ。義務感に駆られて隙間時間を埋める感じでもなく、ごく自然にできている。本人は性格と言うが、何かを成す人の姿勢に恐れ入った。【遠藤尚子】