人間国宝の歌舞伎俳優、坂東玉三郎(71)が12日、オンラインで、7、8月の京都・南座公演「7月 坂東玉三郎 特別舞踊公演」(24~28日)「8月 坂東玉三郎 特別舞踊公演」(8月2~24日)の取材会を開いた。

昨年8月予定の公演だったが、コロナ禍の影響で1年延期されていた。収束が見えない中、生活様式、舞台を巡っても環境は大きく様変わりしたまま。玉三郎は「去年の春から夏、オフを強いられる形になり、モチベーションを維持するには、今はずっとオンにするしかない。舞台に立つことが最もモチベーションが上がる。忙しくするのが、一番かと…」などと語った。

玉三郎自身、すでに2回のワクチン接種を終えたが、感染対策の強化、徹底には心を砕く。というのも「リモートでお芝居というのは、私の中にはない」からだ。

対策を万全にしても「お客様が心配」とは言いつつも、根っからの舞台役者。「我々も(ウイルスの)よけ方になれてきた(対策が上手になってきた)面もあります。私は実演が最善だと思っています。実演家として生きていきたい」と矜持を示した。

固い意志で臨む京都での2カ月連続公演。期間が東京五輪にちょうど重なり、開会式(23日)前日に京都へ入るという。これに、玉三郎は「この期間、京都にいられることが幸せ。去年もこの時期に京都にいようと思って、8月にお願いした。お察しいただけたら」と、複雑な思いを発した。

また、5月に慢性閉塞性肺疾患で亡くなった片岡秀太郎さんにも言及し「実は、私、一番仲が良かった。ご飯を食べに行ったり、宝塚(歌劇)を見に行ったり…。ですので、とても残念ですが、ひじょうに自分で完結なさったと思います」。

というのは「病気になっても一切延命しないでほしい、と、おっしゃっていましたし、寂しくはありますが、人生をまっとうなさったと思います」と続け、説明した。

秀太郎さんの養子、片岡愛之助とも、これについて話したといい「お父さん、十分やったね」と、愛之助に声をかけると、愛之助も「そうやと思います」と返したことを明かした。

7月の舞踊公演は「口上」「雪」「鐘ケ岬」で、口上では豪華な打ち掛け姿を披露する。8月の公演には中村橋之助(25)中村福之助(23)中村歌之助(19)の3兄弟と、河合雪之丞(50)が出演し、「鶴亀」「日本振袖始」を予定している。