俳優佐々木蔵之介(53)が主宰する演劇ユニット「team申」の舞台「君子無朋(くんしにともなし)~中国史上最も孤独な暴君雍正帝(ようせいてい)~」(17日初日、東京芸術劇場シアターウエスト)の会見が16日、同劇場で行われた。

佐々木がナビゲーターを務めたNHKのドキュメンタリー番組で、清の第五代皇帝の雍正帝を取材。この独裁者でありながらも勤勉だったという皇帝に興味をもったという。

雍正帝を演じる佐々木は「暴君だけどユニーク。この独裁者を作品にしたらおもしろい、演じたいと思いました。結局は、Team申でやることに。いろいろな皆さんが賛同してくれ、こんな状況にかかわらず上演できるのはうれしい」と話した。

雍正帝は執務室にこもって、中央のエリート役人を無視して地方の末端役人223人と2万通に及ぶ手紙のやりとりをしたといわれる。

佐々木は「日本の殿様や、英国のマクベスやリチャード3世は演じてきましたが、皇帝、エンペラーは初めて。中華演劇も見ていないし、初めて尽くしです。当時の中国は今のEUと同じ大きさですが、1つの国で、1人の皇帝がすべてを決める。1日に20時間も働いて、13年で死にました。いわゆる過労死ですが、その手紙のやりとりがおもしろいんです」。

末端の役人のオルクを中村蒼(30)が演じる。佐々木と中村の2人のシーンが多い。中村は「ひたすら演出にしがみつき、夢中でもがいている感じです。それで、オルクの誠実さにつながればいいかなと思っています。蔵之介さんの目の奥に鋭いものがあり、試されている感じです」と話した。

脚本は当該のドキュメンタリー番組ディレクターの阿部修英氏が初めて戯曲を書き下ろし、演出は東憲司氏。東京公演後は、仙台、石川、広島、福岡、長野、新潟、京都を回る。