演歌歌手坂本冬美(54)が25日、ソフトボール日本代表の金メダル獲得を懇願した。

この日のカナダ戦は緊迫な試合展開の末にタイブレークで制し、銀メダル以上を確定させた。坂本はスケジュールを縫いながら、連日の日本戦の観戦時間を確保。学生時代のソフトボール仲間らとLINEでやりとりをしながら、テレビの前で声援を送る。「アメリカに勝ってぜひとも金メダルを」と願った。

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日本の銀メダル以上確定に歓喜の声を上げた。「もう興奮しましたのひと言です。ハラハラドキドキでしたが、メンバー全員の勝利だと思います」。

カナダ戦にも先発したレジェンドの上野由岐子投手に敬意をはらうが、ピンチの場面でリリーフに成功した後藤希友投手の踏ん張りを一層評価する。この日も6者連続三振に抑え、日本の勝利を呼びこんだ。

「24日のイタリア戦も素晴らしかったですよね。まだ若い選手なのに、若い人特有の怖いもの知らずといったら怒られるかもしれませんが、物おじしない堂々とした投球は胸がすく思いでした。若い選手が出てくるチームは強いんです」。

坂本は野球大好き少女だった。中学時代はソフトボール部で高1まで続けた。入部した際に先輩が8人おり、空いていたポジションは捕手だけ。多くの新入部員の中からセンスのよかった坂本が抜てきされた。捕手は声かけも重要な仕事で、それが今の歌手につながっている。だが、野球と並び、ソフトボールも五輪競技としては今回が最後と言われている。

坂本は「やはりスターの出現が大切。米大リーグでも、大谷翔平選手の登場で盛り上がっていますし、日本でもMLB人気が再燃しています。だから後藤選手には期待したい。あとは、金メダルを獲得して、子どもたちにソフトボールって面白いんだ、やってみたいと感じてほしいですね」。

ソフトボールだけでなく、競泳の池江璃花子選手にもエールを送る。「病気と闘い、かつ出場を勝ち取った頑張りに頭が下がります。もう、頑張ったなと思うだけで涙がでてきてしまいます」。さまざまな困難にさいなまれている五輪についても「選手には何の罪もありません。この大会に向けて研さんを積んできた選手のパフォーマンスに素直な拍手をみんなで送りたいですね」。【竹村章】

◆坂本冬美(さかもと・ふゆみ)1967年(昭42)3月30日、和歌山県生まれ。中学・高校でソフトボール部。87年3月「あばれ太鼓」でデビュー。「祝い酒」「夜桜お七」などヒット曲多数。91年に日本レコード大賞最優秀歌唱賞受賞。NHK紅白歌合戦は32回連続出場。桑田佳祐が手掛けた「ブッダのように私は死んだ」がヒット中。血液型O。

○…坂本は8月14日放送のBS朝日「人生、歌がある」(土曜午後7時)で、浪曲の師匠である二葉百合子(90)と共演する。二葉は11年3月に芸能活動に終止符を打ったが、今回は90歳になったこともあり、坂本ら弟子の前で名曲「岸壁の母」を歌うという。坂本は「プロデューサーがずっと声をかけてくださり、90歳という節目でもあり出演が実現しました。もう素晴らしい歌声につきます。スポーツの感動と同じように、二葉先生の歌声を聞いてほしいです」。