講談師神田蘭が新著「女と男の恋する日本史講談」(辰巳出版)を来月23日に出版する。飛鳥時代の額田王から常盤御前、北条政子、亀菊、彦鶴姫、小松姫、愛姫、お楽の方、伊藤梅子、樋口一葉、川上貞奴、田中絹代、そしてココ・シャネルまで「自分らしく恋をして自分らしく生き抜いた歴史上のヒロインたちの人生」を創作講談で描いている。

蘭は「日本の歴史は男性にスポットが当たることが多いんですが、その陰で愛に生き、歴史を大きく動かした女性たちがいました。来年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で小池栄子さんが演じる北条政子をはじめ、男性に負けない強力な存在感を放った女性は多いんです。最後のココ・シャネルだけは番外編です」と笑う。

現代社会で取り上げてみたいヒロインは「小池百合子都知事ですね。政治の世界で大活躍ですけど、その恋模様を書いてみたいと思います。相当、男を踏み台にしているかも(笑い)。いろいろ話題の熊田曜子さんも興味がありますね。定番ですが、宇野千代さんを取り上げてみたいとも思っています。男性なら、メジャーリーグで二刀流で大活躍の大谷翔平選手の恋模様も書いてみたい。でも、あんまり浮いたうわさが聞こえてこないんですよね」と話している。

コロナ禍の、この1年半は公演が度々、中止になった。「この本をはじめとして、書く仕事が多かったですね。新聞や雑誌のコラム、あと雑誌『ナンクロプラザ』で『講談師神田蘭の言わせて観相学』という連載をやらせてもらっています。『笑っていいとも!』に出ていた藤木相元先生に習ったんです。“観相学講談”みたいなものができたらいいですね」。

仕事がなくなったことで資格も取った。「コロナ禍が始まった頃に周囲の人たちは『早く元に戻るといいね』と言ってたんですけど、私はそうそう早くは解決しないと思っていました。だからピラティスのインストラクターの資格を取ったんです。生徒さんに教えたりもしています」と言う。

8月17日には東京・国立劇場で「今に生きるサムライの心~吟と剣詩舞~」に出演。剣舞の早渕鯉將、笛の福原徹と共に「忠臣蔵」を演じる。

「いろいろと大変な世の中ですけど、これからも講談、執筆と新しいものに挑戦していきたいですね」と話している。【小谷野俊哉】

 

◆神田蘭(かんだ・らん)埼玉県春日部市生まれ。女優岡部厚子として、1999年(平11)NHK大河ドラマ「元禄繚乱」などに出演。04年1月、神田紅に弟子入り。08年6月に二つ目、18年5月に真打ち昇進。落語芸術協会所属。レギュラーはJFN「恋する日本史」、RKBラジオ「神田蘭のモーニング・マダム」(日曜午前9時15分)など。特技は日本舞踊(吾妻流)、ヨガ、ジャグリングなど。