米俳優ショーン・ペン(60)が、主演する新作ドラマ「ガスリット」の出演者とスタッフ全員が新型コロナウイルスワクチンの接種を完了するまで撮影現場には戻らない意向を示したと報じられた。

米オンラインサイト、デッドラインによると、自身の非営利団体コアを通じて米ロサンゼルスでワクチンの無料接種会場を運営しているペンは、ドラマを制作するNBCユニバーサルのワクチン接種対策に不満を抱いていたという。NBCユニバーサルは、出演者と俳優の至近距離で働くスタッフにはワクチン接種を義務付けているが、それ以外の関係者へのワクチン接種は義務化されていないという。

ペンはこれに対し、俳優と直接接しない関係者も全員ワクチン接種をすべきだとし、コアを通じてワクチン接種の無料提供を申し入れていると米メディアは伝えている。ハリウッドを擁するロサンゼルスは、変異種デルタ株のまん延でワクチン未接種者の間で感染が拡大している。同作は主にLA近郊のバーバンクにある屋内スタジオで撮影が行われており、ワクチン接種済みのペンは自身の感染ではなく、出演者と至近距離で接する現場「ゾーンA」以外で働く人々も現場内部の人と関わることがあるため、撮影全体に及ぼす影響を懸念してのことだという。撮影はあと数週間残っており、放送は今年後半を予定している。

同作は1972年に米ワシントンDCの民主党本部で起きた盗聴侵入事件から始まったニクソン大統領の辞任劇までの政治スキャンダル「ウォーターゲート事件」を描いたもので、ペンはニクソン政権の司法長官を演じ、女優ジュリア・ロバーツがその妻を演じることになっている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)