菅義偉首相(72)の素顔に迫ったドキュメンタリー映画「パンケーキを毒見する」(30日公開)初日舞台あいさつが30日、東京・新宿ピカデリーで行われた。舞台あいさつには、映画に出演した元文部科学事務次官の前川喜平氏(66)が登壇した。

映画は、20年9月に就任した菅首相が、日本学術会議の新会員に6人を任命しなかった問題に関して記者会見での説明を求められながら、同10月3日に都内の有名パンケーキ店に番記者数十人を集め、オフレコの懇談会をしたことがタイトルになっている。ただ、菅首相自身は出演しておらず、過去の資料映像や国会での答弁などの映像が映画には使われている。前川氏は、そのことを引き合いに「私は、ちょい役なんで、あまり意味はないんですけど、主役が来てくれないんで、ちょい役が来るしかない」と皮肉った。

さらに前川氏は「新宿はちょくちょく来ていたので、違和感はない。ここに(取材には)いらっしゃらないと思いますけど、私が新宿で、いろいろ出入りしていた店のことを書かれまして」と苦笑いを交えつつ、口にした。同氏は文科事務次官時代の17年5月「出会い系バー」への出入りを一部で報じられた。同氏は当時、会見で「そういうバーに行ったことは事実」と認めた上で、女性の貧困を特集した報道番組を見て「こういうバーでお金をもらう女性がいると知り、実態を見たかった」と説明。「食事をして一定の小遣いを渡し、話を聞いた。いろんなことが分かり文科行政の中の課題を見いだせた。役に立った」「実地の視察調査だ」などと述べた。

一方で、当時の安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり表面化した「総理のご意向」などの内部文書を「間違いなく真正なもの」とも明言した。

前川氏は当時を振り返り「菅さんの素顔は、すがすがしいものじゃありませんから。現役の官僚の頃には、官房長官の所に何回か行き、型通りの説明はした。むしろ濃厚な関わりは、役人を辞めた後…別に私は関わりたかったわけじゃないけれども、あちらさんからいろいろ関わってこられた」と語った。

その上で「出会い系バー」報道について「あれは菅さんが(報道画を)やらせろとおっしゃったのだろうと私は思っていますけどもね。これは本当に、私は官邸からつぶされかけているんだなと思いましたね。バタバタと弁護士を雇わなきゃと思い、東京でいちばん、有能な若手弁護士を見つけ出しまして。今日も真ん中に座っています」と、客席に弁護士がいると明かした。

前川氏は「菅政権の支持率…就任当初、特に20代は80%と驚異的だった。そうした若い世代に、菅さんの素顔は、すがすがしくない、というのを見て欲しい」と訴えた。