米映画「キル・ビル」シリーズなどで知られる米女優ユマ・サーマン(51)が、テキサス州で執行された厳格な中絶禁止法に抗議するため、10代後半に中絶した過去を告白した。

妊娠6週間を経過した女性はレイプ被害者なども例外なく一律に人工中絶手術を禁止する新たな州法が執行されたことを受け、ワシントン・ポスト紙に意見記事を寄稿し、「これまでの人生で最も暗い秘密」と自身の中絶体験を赤裸々に明かした。

15歳で女優の仕事を始めたサーマンによると、仕事のために家族から遠く離れた欧州でスーツケース1つで暮らしていた10代の時、自分よりもかなり年上の男性との子どもを妊娠したという。当初は産みたいと考えたもののどうしてよいか分からず両親に相談した結果、10代で母親になることの大変さや自身の始まったばかりのキャリア、自分自身が暮らしていくことさえ大変な状況などを考え、中絶することを決断したと明かした。

現在3人の子どもの母となったサーマンは、今でも悲しいとしつつも「人生で最も難しい決断で、当時は苦痛を感じたが、この時の決断を今は後悔していない。若すぎた妊娠を諦めたことで成長し、自分が望むような母親になることができた」と述べ、中絶という選択があったことで今の自分があると振り返った。

「公表しても自分自身にとって得なことは何もない」と語るサーマンは、自分の経験を通じてこの新法の影響を受けて苦しむ女性たちに勇気を与えたいと述べている。サーマンは1998年に結婚した元夫の俳優イーサン・ホークとの間に女優のマヤ・ホーク(23)ら2人の子どもをもうけたほか、元婚約者との間にも娘がいる。サーマンの勇気ある告白は、大きな反響を呼んでいる。(ロサンゼルス=千歳香奈子)