これまで何をやってもうまくいかなかった1人の男性ミュージシャンが、「なにやってもうまくいかない」と歌ったら、メジャーデビューが決まった。彼の名は、meiyo(30)。動画投稿アプリ「TikTok」の総再生回数が1億回を超える同曲で、明日26日にユニバーサルミュージックから配信シングルを発売。このほど、日刊スポーツの取材に応じた。

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「<歌詞>な~にやってもうまくいかな~い」。どこか懐かしさも感じさせ、まっすぐな感情も乗った19秒のメロディーは、7月15日の配信直後から、ユーザーの心を捉えた。人気TikTokerも同曲を使用した動画を次々と投稿し、同アプリの急上昇ランキングで1位に。24日現在で、同曲を使用した投稿も4・3万件を超える。meiyoも思わぬ反響に「作った時も、“なにやってもうまくいってなかった”ので、こんなことになるとは」と笑う。

なかば“自暴自棄”になって作った楽曲だった。高校時代からドラマーとしてバンド活動を行うも、鳴かず飛ばず。15年に「ワタナベタカシ」としてソロ活動を始めるも、関係者が見守るショーケースライブで失敗し、18年には「meiyo」に改名したが、デビューに至る起爆剤にはならなかった。

今年に入って、TikTokのアカウントを開設し、投稿した「うろちょろ」がレーベル関係者の目に留まった。ほんのわずかデビューの芽が出たが、その後の投稿はバズらず。「せっかくのチャンスもつかめないのかと…。その気持ちをそのまま歌詞にしてアップした」のが「なにやっても-」だった。

苦節12年。根拠のない自信もあったといい「音楽を辞めることは考えていなかったです」。これまでは本心をオブラートに包むような歌詞も多かったというが、本音をさらけ出したら“うまくいった”。「こんなに自信がないところを出してしまって良かったんだと。ネガティブなワードが並びますが、歌っている自分は意外とポジティブ。楽曲を通じて、これだけうまくいってないヤツがいるんだったら…とか、続けていれば何とかなることを感じてほしいです」。

【大友陽平】

◆meiyo(メイヨー)1991年(平3)1月7日、東京都生まれ。高3で軽音部に入部し音楽活動をはじめ、高校卒業後から主にドラマーとしてバンド活動を行う。15年に本名の「ワタナベタカシ」としてソロ活動を始め、18年に中国語で「ありません」などの意の「没有」から「meiyo」に改名。作詞、作曲、編曲まで手掛ける。