「カムイ伝」「シートン動物記」「サスケ」などで知られる漫画家の白土三平(しらと・さんぺい)さん(本名・岡本登=おかもと・のぼる)が8日、誤嚥(ごえん)性肺炎のため都内の病院で亡くなっていたことが26日、分かった。89歳。60年ころから「カムイ伝」シリーズなどの作画を手掛けた実弟の岡本鉄二(おかもと・てつじ)さんも4日後の12日、間質性肺炎のため都内の病院で亡くなった。白土さんの妻、岡本春子さんが26日、創刊時から執筆した「ビッグコミック」出版元の小学館を通じて発表した。生前の希望により葬儀はともに親族のみで執り行った。遺族の希望により、お別れ会などを開く予定もないという。

白土さんは洋画家岡本唐貴さんの長男として1932年(昭7)2月15日に東京都で生まれた。紙芝居制作から画業を始め、57年「こがらし剣士」で漫画家デビュー。64年には編集者の故長井勝一さんと作家性を重視した雑誌「月刊漫画ガロ」を創刊し、その最大の目的だった「カムイ伝」の連載を開始。同誌は後進の育成にも大きな役割を果たし、つげ義春氏など多彩な才能を生んだ。

「サスケ」「ワタリ」「忍者武芸帳」など忍者もので数々のヒット作を世に送り出し、75年「ビッグコミック」で「神話伝説シリーズ」の連載開始。82年から「カムイ外伝」、88年から「カムイ伝第二部」を発表した。「カムイ外伝」は実写映画化され09年公開。主人公の忍者カムイを演じた松山ケンイチが、女忍者スガルを演じた小雪と11年に結婚したことも話題となった。