4月25日に新型コロナウイルス感染のため、81歳で亡くなった料理人、神田川俊郎(かんだがわ・としろう)さん(本名・大竹俊郎=おおたけ・としろう)の告別式の場となったお別れの会が3日、大阪市北区のリーガロイヤルホテルで行われた。

「神田川」でおかみ修業中の娘、大竹可江(かこ)さん(49)がこの日、取材に応じ、父のなじみだった浅野ゆう子、竹内力らの言葉に励まされてきた日々を明かした。

「父はいろいろなお客さまにお付き合いし、夜中までお酒を飲んで、翌朝すぐに東京へ行ったり…でも、私の3倍ぐらい食べていましたから」と、バイタリティーにあふれていた父を思い返し、続けた。

「浅野ゆう子さん、弟(希さん)が親しくさせていただいている竹内力さんからも『これからも応援させていだきます』との言葉をいただき、励みになりました」

神田川さんは4月16日に自宅で倒れ、病院に搬送された後にコロナ感染が判明。同25日に大阪市内の病院で亡くなった。急な別れに可江さんは「ようやく半年…亡くなった時はあまりにもびっくりして、言葉も出ないほど。今やっとお客様にお礼を言い、皆様に笑顔であいさつができるようになりました」と言う。

神田川さんが亡くなった後、店に出るようになり、おかみ修業に励む。戦後、苦労して料理人の道を歩んだ神田川さんは、つねに可江さんを心配していたといい「本当に心配性で、私の携帯に1日に2回も3回も電話をくれて『何もないか? おなかすいてないか?』って…」。気遣いが細やかで、その人間性が料理人としての生き様、腕、店の経営にも生かされていたと今、感じているという。

コロナ禍で父を亡くし、その上、コロナ禍で厳しい環境は続く。「消毒も、衛生面も徹底して、今は1年生の立場で一生懸命、がんばっていくつもりです」。神田川さんは生前、可江さんに「若おかみはどうや?」と誘い、息子の希さんにも店への参加を呼びかけていた。

「今、私がお店に出て、弟が一番裏方で頑張ってくれている。父も喜んでくれていると思います。お客さまに『可江さんに会いに行く』と言ってもらえるように、神田川をなくさないように、新しい神田川を作ってきたい」と話した。

この日の会には山東昭子参院議員、片山さつき参院議員ら約430人が出席。祭壇には、フジ系「料理の鉄人」などで活躍していた当時から、ファンにもなじみ深い白いかっぽう着を着た写真が飾られていた。【村上久美子】