大友啓史監督(55)が17日、都内のHall Mixaで行われた「COME BACK 映画祭-コロナ禍で影響を受けた映画たち-」開催記念トークショーで、一般のファンの質問に直接、答えた。

最初に、同年代という女性から「辞めて独立した時、ご家族はどうしました? うちが今、そういう状況になっていて…」と質問が出た。大友監督が10年の大河ドラマ「龍馬伝」のチーフ演出を務めた後、NHKを11年4月に退局して映画監督に転身したことを踏まえての質問だった。

大友監督は「『龍馬伝』をやっている頃に、周りが辞めるんじゃないかとコソコソ、うわさを始めていた。会社の別の部署の、記者の偉い人とかから『大友、辞める気だろう』とメールが来て…何となく、そういうムードが、自然に出来ちゃってて」と当時を振り返った。その上で「メチャメチャ、働いたんだけど…NHK、給料上がらないんですよ」と、ぶっちゃけた。

会場が笑いに包まれる中「だから、カミさんに『辞める』って言った時に『そろそろ、そういう時期ですよね』というリアクションでした。むしろ、残ることの方が…というムードになっていて、みんなそう思っているんだ、家族まで…」とNHK退局当時の状況を赤裸々に告白。その上で、質問してきた女性に「すみません、参考にならなくて。背中を押して上げてください」と呼び掛けた。

「COME BACK 映画祭-コロナ禍で影響を受けた映画たち-」は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて

<1>上映中止

<2>上映中断

<3>座席制限などで十分な配給、興行が出来なかった

<4>撮影に支障を来し、完成が遅延した

映画59本を一挙、上映する企画。文化庁の文化芸術活動支援事業「ARTs for the future!」補助対象事業の一環として行われた。

大友監督も、佐藤健(32)主演の「るろうに剣心 最終章 The Final」「-The Beginning」が20年7月3日、同8月7日に公開予定も、コロナ禍で公開延期を余儀なくされた。

「-The Final」は今年4月23日に封切りも、政府が同25日から新型コロナウイルス感染拡大を受けて3度目の緊急事態宣言を発出すると発表し、封切りから2日で休業要請が出た東京、大阪の映画館が閉まる苦境に陥った。その中、緊急事態宣言の再延長を受けて、6月1日から東京と大阪の映画館への休業要請が緩和された中、同4日に「-The Beginning」が公開。同7日発表の週末の全国興収ランキング(興行通信調べ)では「-The Beginning」が1位、「-The Final」が2位と日本映画史上初めて1、2位を独占も、コロナ禍のあおりを食った面は否めなかった。

当初、トークショーはコロナ禍の中、公開された「るろうに剣心 最終章」の舞台裏を語る趣旨だったが、観客との距離が近いこと、大友監督が新作の撮影中で「頭の中がグチャグチャ。聞きたいことを聞いて欲しい」と呼び掛けたことから、観客の質問を受けるティーチインとして行われた。