漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2021」の決勝が19日、東京・六本木のテレビ朝日で行われ、2年連続2度目の決勝進出となったお笑いコンビ、錦鯉が第17代王者となった。

長谷川雅紀(50)は歴代優勝者の中で最年長で、史上最多6017組の頂点に立った瞬間、相方の渡辺隆(43)と抱き合い号泣。賞金1000万円などを獲得した。

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合計93歳の最年長コンビが栄冠を勝ち取った。優勝が決定すると長谷川と渡辺は力強く抱き合い、涙を流して喜び合った。渡辺は「雅紀さんとコンビが組めてよかった」と感極まり、長谷川も「諦めないでやってきてよかった」と声を詰まらせた。

決勝ファーストラウンドでは「合コン」ネタで655点。オール巨人からは「50歳ってまだ若い。進化できるなって」、ナイツ塙宣之からは「ボケただけで笑いがとれるのはシンプルで最強」と高評価を受けた。オズワルドの665点に続く、インディアンスとの2位タイで最終決戦に進出すると「猿」のネタで爆笑をかっさらい、審査員7人中5票を獲得して頂点をつかんだ。会見では抱擁時に渡辺が長谷川の耳元で「ありがとう」とつぶやいたことも明かし、長谷川は「普段、人にありがとうって言う人じゃないので余計にギャップで、そりゃ涙もあふれますよ」と笑わせた。

それぞれピン芸人として活動していた12年にコンビを結成してから9年。19年に準決勝に進出。昨年は「最年長ファイナリスト」として進出した初決勝で4位に入るなど、1歩1歩階段を上ってきた。大会前には同じ事務所のハリウッドザコシショウとバイきんぐにネタを見せたといいアドバイスのほか「最後は自分たちがやりたいようにやれ」と背中を押された。

長谷川は苦しい時にサポートしてくれていた母親への感謝も語り「去年までアルバイトして、電話のたびに5000円貸して、1万円貸してって言ってて。最近は僕からの通知がきたら出るの嫌だって言ってて。今年はやっと仕送りをしたり、借金を返したりできて、本当にさらに今回の報告ができるということで、多分母親も喜んでいると思います」。恩返しも果たし、「中年の星」の物語は、まだまだ続く。【松尾幸之助】

◆錦鯉 ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)所属。長谷川雅紀(71年7月30日、北海道生まれ)と渡辺隆(78年4月15日、東京都生まれ)によるコンビ。12年結成。2年連続決勝進出で、長谷川は昨年49歳時点でもファイナリスト最年長を記録。吉本興業所属以外の優勝は07年サンドウィッチマン以来。