女優米倉涼子(46)が主演するNetflixシリーズ「新聞記者」(全6話配信中)について語る連載の第2回。初顔合わせとなった藤井道人監督(35)との撮影の日々を振り返る。

第7弾まで放送された主演ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」など、米倉はここ15年ほど同じチームでの撮影が続いた。それだけに「新聞記者」の現場は新鮮な驚きに満ちていた。

35歳の藤井監督をはじめスタッフは若く、「私、高齢者だったんです」とジョークを交えて語る。

「ヘアメークさん以外は全員が初対面。なので、やり方が全然分からなかったし、自分より10個近く若い人たちが現場のスタッフ。ほわ~としているけど、スムーズに事は進んでいく。面白い組でした」

これまで主張の強い役を演じることが多く、本作で演じた松田杏奈記者の静かな演技も課題の1つとなったようだ。

「『しつこいな』とか『あなた何なんですか?』と言われるシーンがたくさんあるんです。そのせりふを返しやすいように強く言った方がいいのかと思ったんですけど、藤井監督は『でもそれはしなくて大丈夫なので』と(笑い)」

同監督のもとでは、撮り直しを10回繰り返すこともざら。10日に行われたワールドプレミアイベントで苦労を語ったが、藤井組常連の共演綾野剛(39)は、監督の粘り強い演出を「平常運転」と解説。米倉が「あうんの呼吸でできる」と話すこれまでの撮影部隊では、まずないことだった。

「(撮り直しは)ほぼ毎回ですね。普段ないことだから、本当に何が悪いんだろう? と思いながら。教えてほしい、助けて! と思いながらやってました。最初は手探り。闇の中に入っていっちゃったみたいな感じですよね」

さまざまな人の視点でストーリーが進み、記者役の自身は事の推移を見守るポジションでもあった。ちゃめっ気たっぷりに語る。

「主役と思っていなかった。新人感覚でお邪魔していたので、差し入れだけはしようと思ってました(笑い)」

自分を「新人」と称する米倉の表情は生き生きとしている。【遠藤尚子】