テレビ朝日は10日、亀山慶二代表取締役社長から辞任の申し出を受理し、同日付で辞任したことを発表した。スポーツ局社員・スタッフによる不祥事が連続して監査・検証を行った際、亀山氏が担当するスポーツ局と意思疎通を欠いていたことや、亀山氏が会社経費を私的使用していたことが発覚したことを理由としている。早河洋会長が社長を兼務する。亀山氏は親会社であるテレビ朝日ホールディングスの取締役も辞任する。

▽以下発表全文(辞任報告の1.の項と、異動年月日の2.の項は除く)

3.異動の理由

当社では、2021年8月以降、スポーツ局の社員・スタッフによる不祥事が連続して発覚したことを受け、同年12月、再発防止策を策定する目的で、当社役職員によって構成される「役職員の業務監査・検証委員会」(以下「検証委員会」といいます。)を設置し、コーポレートガバナンスの観点からスポーツ局のガバナンスを中心に監査・検証いたしました。その過程で、スポーツ局統括でもある亀山氏の業務執行上の不適切な行為が明らかになったため、亀山氏本人及び社内関係者の事情聴取、伝票等の関係書類の精査を実施しました結果、以下の事実が確認されました。

(1)スポーツ局長との意思疎通の欠如

亀山氏は、当社社長に就任した2019年6月以降、スポーツ局内において報告会を主催し、ほぼ毎週スポーツ局内の主要な役職者を招集して協議していました。報告会は、会社として正式に設置した機関ではありませんが、スポーツ局内の意思疎通・情報共有・円滑な指揮命令の伝達にとって、重要な役割を果たすことが期待されておりました。

しかしながら亀山氏は、合理的な理由もなくスポーツ局長をこの報告会に参加させないだけでなく、スポーツ局長との日常的な意思疎通も十分に行っていなかったため、スポーツ局内の指揮命令系統の混乱を招き、職場環境を悪化させる事態となっていました。

(2)不適正な伝票処理による会社経費の私的使用

亀山氏は、当社社長就任後、スポーツイベントへの出席・営業活動のため、会社の費用負担で国内各地に出張していました。しかしながら、その中には業務との関連が認められないにもかかわらず、その際の会食・ゴルフ等の費用を含め、あたかも業務上の関連があるかのように仮装し、会社の費用として経費の精算をしていた事例があったことが確認されました。

(3)その他

上記(2)の不適切な伝票処理以外にも、亀山氏には、代表取締役社長として不適切であって、業務の遂行に支障をきたすおそれのある行為が確認され、取締役の善管注意義務に照らして問題視せざるを得ないものがありました。

放送事業という公益性の高い事業を営む当社社長には高い倫理観が求められることに加え、上記(1)のとおり、スポーツ局内の指揮命令系統を混乱させ、職場環境を悪化させた上、上記(2)及び(3)のとおり、他の役職員の範となるべき社長自らが不適切な行為に及んでいたことは、スポーツ局内の規律を著しく弛緩させるものであって、続発したスポーツ局内での不祥事の遠因となったと評価せざるを得ず、検証委員会としては、この点において、亀山氏の行為は当社社長として許されるものではないと判断しております。

一方、検証委員会の調査の過程で、亀山氏も検証委員会の指摘した上記の各事実を概ね認めてその責任の重大性を認識した上、当社のステークホルダーの皆様及び役職員に対する反省と陳謝の意を示し、当社及びテレビ朝日ホールディングスの一切の役職を辞任する意向を示すに至りました。

検証委員会は、その調査結果を本日の当社及びテレビ朝日ホールディングスの取締役会に報告し、上記のとおり、両社の取締役会において亀山氏の一切の役職の辞任を正式に受理し、これを承認した次第です。

亀山氏は以下の通り述べています。

「代表取締役社長としての業務執行において、業務監査・検証委員会から不適切な行動が指摘されました。すでに昨年暮れ、その責任を痛感し辞任の意向を申し出ておりましたが、このたびそれが取締役会で認められ、すべての役職を辞任いたします。職責を全うできず、テレビ朝日の役職員の皆様やステークホルダーの皆様に大変なご迷惑をおかけしたことを、衷心よりお詫び申し上げます。」

この度は、当社代表者の行動によって視聴者、アドバタイザー、株主の皆様をはじめとする関係各位の信頼に反することとなり、心よりお詫び申し上げます。

当社としましては、今回の事態をコーポレートガバナンス上重大なものと受け止め、検証委員会の検証作業の継続と、再発防止策の構築を図ることによって、引き続き全社的な視点で適正・的確なコーポレートガバナンス体制の向上に役職員一同努力する所存です。

以上

テレビ朝日

広報部