<記者の目>

NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」が8日、最終回を迎えた。上白石萌音(24)深津絵里(49)川栄李奈(27)の3人のヒロインがバトンをつないだ、100年の家族の物語が幕を閉じた。ファン納得の大団円で、視聴者へのサービス精神に満ちた作品だった。

物語が進むにつれ、SNS上を盛り上げたキーワードが「伏線回収」だった。ドラマ人気を受けたネットニュースは日々量産され、「ネタバレ注意」の見出しをどれだけ目にしたか分からない。3世代を描く「カムカム」ではキャラクター同士の縁や小ネタが随所にちりばめられており、それが視聴者をくぎ付けにしたのは間違いないだろう。

例えば、るい(深津)の相手役となる錠一郎(オダギリジョー)がトランペットに憧れる孤児として安子編に登場していたことが分かると、当時ネットは「やっぱり」と盛り上がった。

ヒロインを取り巻く人々の描写も細やかで、安子編で荒物屋「あかにし」の“けち兵衛”こと吉兵衛を演じた堀部圭亮は、ひなた編では吉兵衛の息子・吉右衛門役で再登場。おおらかだった子ども時代とは変わり、親そっくりのケチに成長してしまったことに笑った人も多かっただろう。挙げたらきりがないが、物語を見守り続けた視聴者があっと喜ぶ仕掛けが毎週、毎日のように続いた。

最終回では、岡山で別れたきりになっていた安子の幼なじみ・豆腐店のきぬちゃん(小野花梨)のその後も知るところとなり、キャラクターの誰ひとり取りこぼさなかった印象だ。

登場人物に起こるドラマチックな展開を「強引では」とする人の声も少なからずあるが、物語を徹底的に楽しませようという心意気だと感じていた。

以前の取材で川栄が、藤本有紀さんの脚本について「誰も悪い人が出てこないんです」と話していたことも思い出される。

視聴者の反感を買った数少ない役柄に、和菓子店の再建資金を持って失踪した安子の兄・算太(濱田岳)がいるが、算太はその金を使うことはなく、るいがめいと分かってからは貯金を始めたようだった。

安子に対する嫉妬心から、るいにひどい言葉をかけてしまったお手伝いさんの雪衣(岡田結実)も、後悔の念を抱き続けていたことが後年(多岐川裕美が演じた)になって描かれた。

登場人物を嫌いにならずに済んだことは、視聴者が朝ドラを見続ける後押しになっただろう。

最終週のサブタイトルは「2003-2025」で、一気に22年を描いた。長い間視聴者が気をもんだ安子とるいの再会、国をまたいで活躍するひなたのその後がきれいに着地した。

「そうそう、これが見たかったんだよ」に見事に応えてくれ、作り手のサービス精神にすっかり楽しませてもらった。すがすがしい気持ちで見届けることができ、“カムカムロス”に陥る人は少ないのではと思っている。【NHK担当=遠藤尚子】

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