先月27日に開催された第94回アカデミー賞授賞式で、コメディアンのクリス・ロック(57)を平手打ちした俳優ウィル・スミス(53)に対する処分を決める理事会が現地時間8日朝行われ、本日から10年間にわたってアカデミー賞授賞式を含む米映画芸術科学アカデミーが主催する全てのイベントやプログラムへの出席を禁じられた。

米CNNによるとオンラインで行われた理事会にはスティーブン・スピルバーグ監督や女優ウーピー・ゴールドバーグらハリウッドの重鎮を含む54人の理事が参加し、当初の予定より長い2時間近くにわたる協議が行われた。授賞式への出席を禁止する一方で将来のノミネート禁止については言及がなく、平手打ち後に映画「ドリームプラン」で受賞した主演男優賞は剥奪されないことが決まった。

アカデミーは声明を発表し、「素晴らしい仕事をした個人の功績をたたえることが授賞式の目的で、スミス氏による容認できない有害な行動によって、その影が薄らいでしまった」と処分の理由について説明。「これにより、関係者や影響を受けたすべての人の癒やしと回復への時が始まることを願っています」とコメントしている。理事会の決定を前に1日にアカデミー退会を表明していたスミスは、この決定を受け「処分を受け入れ、アカデミーの決断を尊重します」とコメントを発表した。

アカデミー賞では毎年、前年度の受賞者が翌年の授賞式でプレゼンテーターを行うのが恒例となっているが、今回の決定により来年の授賞式でスミスはプレゼンテーターを務めることはできなくなった。しかし、ノミネートそのものは禁じられていないため、今後再びノミネートされて受賞した際には授賞式に出席せずにオスカー像だけ後日受け取ることになるのかなど詳細についても説明が求められることになりそうだ。

スミスは今年、主演する米アップルのオリジナル映画「Emancipation」の公開を控えており、公開日が未定ながらすでに来年のオスカー候補との呼び声も高いだけに、新たな議論を巻き起こすことになりそうだ。(ロサンゼルス=千歳香奈子)