テレビ東京は21日、定例社長会見を行い、石川一郎社長が11日から始まった民放5局のテレビ番組のインターネット同時配信(リアルタイム配信)についての進捗(しんちょく)状況などを語った。

石川社長は「映像はきれいですし、技術的には問題ない。ほっとしていけるなと思っています」と評価し「まだ10日しかたっていないのでデータもあまりそろっていませんが、今後データを分析したり、お客様の声をきいて改善すべき点は改善していきたい」とした。

テレビ東京では11日のサービス開始に合わせ、10日の日本経済新聞に「全国放送っぽくふるまっていた件に関してのお詫び」としたユーモアあふれる全面広告を掲載。キー局のひとつながら全国放送されていなかった事実を自虐し「他の全国放送と同じような雰囲気を醸し出していました。背伸びをしていました。テレ東は、全国で放送していません。今さらですが、すみません」と謝罪文をつづった。

広告ではその上でリアルタイム配信開始を知らせ「もう背伸びをしなくていいんだ!全国の皆様にリアルタイムでお届けできるんだ!そんな喜びから、こんな豪華な広告枠まで買ってしまいました」と笑いを誘った。

石川社長は同広告について「相当な話題を呼びまして」と明かし、1秒以上広告を見た人の割合が90%を超えていたことを報告。さらに広告を3秒以上見る「認知率」に関しては平均の倍以上となる76・61%の数値が出ていたといい「かなりいろいろな注目を集めた広告になりまして、リアルタイム配信の周知に若干寄与できたのかなと思います」と見解を述べた。

リアルタイム配信は昨年10月に日本テレビが先駆けて始めていたサービスで、これでキー局全てが出そろう形に。視聴者は公式配信アプリ「TVer」を使ってパソコンやスマートフォン、タブレットなどでゴールデン・プライム帯を中心とした番組を見られるようになり、テレビ東京でもバラエティーからドラマ、ニュース、アニメまで約30番組を配信している。

質疑応答ではさらなる配信範囲の拡大についての質問も飛んだ。NHKは20年から受信契約者向けに番組の同時配信サービス「NHKプラス」をほぼ24時間行うなどしている。しかし、石川社長は「きちんとしたCMをつけてやっていかないと、民間放送としてはやっていけない」と慎重な姿勢をみせ「しっかりとマネタイズができてやっていける放送なので、まずはプライム帯で成功させて広げていきたい。いずれやりたいとは思っていますが、まだまだかな。権利処理、クライアントとの広告処理の問題など協議を続けているので、まとめて環境をみながら広げていくことになると思います」と答えた。