俳優渡辺裕之さんが今月3日、神奈川県内の自宅で亡くなっていたことが5日、分かった。66歳だった。

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渡辺裕之さんは、同じ水戸市で生まれ育った私にとって、初めて憧れを抱いたなじみの深い有名人だ。小学生の時に地元の祭りで子供みこしを担ぐ私たちを、沿道から掛け声や拍手で盛り上げてくれたこともあった。証明写真が必要な時は必ず、自転車で数分の距離にある渡辺さんの実家カメラ店へ。高2で初めて取得したパスポート写真も、お母さまが撮影してくれた記憶がある。

我が家の”第2の食卓”だった近所の中国料理店「呂山」でも何度かお目にかかった。「僕は(野菜あんかけたっぷりの)呂山麺とギョーザが好きなんだよね」。それ以降、私の”力めし”に加わった。「握手してください」の声にも真っ黒に日焼けした笑顔で、ギュッと握ってくれた。手の感触は、郷土の誇る水戸泉(現錦戸親方)にも似ていたほど分厚く力強かった。

野球部だった私が高校時代に背筋力222キロのパワーを身につけられたのも渡辺さんのおかげ。あの肉体を目指し、苦しくなってからの「あと1回」をクリア出来た気迫の声は、当然「ファイト~、イッパァ~ツ!」だった。苦難を乗り越えられる魔法の言葉、教えてくれたっぺよ~。【文化社会部・鎌田直秀】

 

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