市川染五郎(17)が19日、都内で、「六月大歌舞伎」(同2~27日、東京・歌舞伎座)の第2部「信康」の取材会を行った。

家康の長男として生まれながらも、自害した信康を演じる。家康は祖父松本白鸚が演じる。白鸚からどんなアドバイスを、と聞かれると「『自分のことで精いっぱいだから頼らないでくれ』と。どこまで本気か分からない」と笑った。

しかし、白鸚から「初お目見えで手を引いて舞台に出てから15年、夢のようです。信康はむつかしい役で勉強になると思います。1日1日魂を込めてつとめてほしいと思います」とのメッセージが届いた。染五郎は「本当に祖父の表現は、舞台でも映像でも、魂を削って命を削っている。尊敬しています。自分もそんな表現ができるように、信康をつくっていきたい」と、気を引き締めた。父松本幸四郎からも、せりふの言い方などのアドバイスを受けているという。

数日前、衣装を着たスチール撮影を行い、染五郎は「役をつくる上でも大きかった。少しでも信康に近づけた感じがしました」と振り返った。前回上演になかった鉄砲が登場、スチール写真も鉄砲を担いでいる。幸四郎や演出の齋藤雅文氏の発案だそうで、染五郎は「冷静で理知的だけど、どこか危険なところを感じさせるアイテム」だと説明。危うさを感じさせる部分について「信康の一番の魅力はそこ。信康への理解が深まっていく中、自分もひかれるところはある」と話した。