間宮祥太朗(29)が13日、東京・丸の内TOEIで行われた主演映画「破戒」(前田和男監督、7月8日公開)完成披露舞台あいさつで「シンプルに、良い映画だなと思えたのが自分にとって、すごい幸せでした」と笑みを浮かべた。

「破戒」は、1907年(明40)に出版された島崎藤村の初の長編小説。1948年(昭23)に木下恵介監督が池部良さん、1962年(昭37)には市川崑監督が市川雷蔵さん主演で、それぞれ映画化しており、今回は60年ぶりの映画化となる。間宮は、被差別部落出身を隠して地元を離れ、ある小学校の教員として奉職する瀬川丑松、丑松に恋心を寄せつつも思いを告げられない志保を石井杏奈(23)悩める丑松を支える親友で同僚の教員・銀之助を、間宮と私生活でも親交が深い矢本悠馬(31)が演じた。

間宮は「100年以上前の原作を、現代に映画化する意味があるんだろうかと、準備中の台本を読んで、今の世の中に思いを巡らせた。今、上映させる意味を、自分でも納得がいったので、ぜひ参加したいと思った」と出演を決めた思いを語った。その上で「令和になって主演を任せていただいた。仕事をお受けし、撮影して痛感するのは、差別というものの手触りが自分の学生の頃に習ってきた時より、身近なところにあるのが実感として、どこかにあると思う。今、上映する意味を、とても感じています」と熱く語った。

間宮は舞台あいさつの最後でも「この映画は、世界自体の事実は変えないかもしれない。でも丑松の中で世界が変わった実感があった。皆さんの(内面の)世界に影響を与える映画だと思うし、そうなって欲しい。大事な人に勧められる映画であって欲しいと思います」と力を込めた。

石井も「私も好きな作品…明治時代の原作ですけど、23歳の現代の自分に通じるところがあった」と強調。矢本は、間宮との共演が多いことを踏まえ「共演で(役どころも)親友というポジションが多い中で、今回も同僚。僕らのプライベートの親交が1番、良い関係で出た。最初から友だちだったので、祥太朗が丑松を演じているだけで、僕も銀之助になれ、役作りの工程にストレスがなく、芝居に集中できた。僕らの今までやってきた芝居でも最高の仕上がりになっていると思います」と胸を張った。