サウジアラビアが後援する男子ゴルフの新リーグ「リブゴルフ・インビテーショナルシリーズ」が29日に米ニュージャージー州に所有するトランプ・ナショナル・ゴルフクラブ・ベッドミンスターで開催されたことが批判を浴びているトランプ前大統領が、クラブ内で使用が禁止されている米大統領の公式紋章を使用していることが判明して物議を醸している。

同クラブでサウジアラビア政府が支援する高額賞金トーナメントが開催されることを巡っては、2001年9月11日に米ニューヨークで起きた米同時多発テロへのサウジアラビアの関与が疑われることなどを理由に抗議集会が行われるなど遺族らから痛烈な批判を浴びていた。

トランプ氏は28日に同トーナメントのシリーズ第3戦を前に次男エリック氏と共にプロアマ戦に登場したが、この際にゴルフカートを含むさまざまなアイテムに米大統領の公式紋章が使用されていることが明るみになった。米メディアによると昨年7月に紋章のついたゴルフティーマーカーの写真がインスタグラムに投稿されたことを受け、政府を監視する非営利団体が司法省に異議を申し立てていたという。連邦法では「米政府による後援または承認されているという誤った印象を与える目的並びにその印象を与えると計算された状況下での使用」を禁じており、違反した場合は罰金か6カ月以内の禁錮刑、またはその両方を科せられる可能性があるという。トランプ氏のゴルフ場での使用は認められていない可能性が高く、トランプ・オーガニゼーションは発覚当時、使用は一時的なもので撤去すると表明していたことから違法と知りながら引き続き使用していたことが指摘されている。

同ゴルフ場を巡っては他にも、30日に今月14日にニューヨークの自宅で階段から転落して事故死したトランプ氏の最初の妻で長女イバンカさんら3人の子供の母親であるイバナさんが敷地内に埋葬されたことをニューヨーク・ポスト紙が墓の写真入りで伝えている。名前と生年月日だけが書かれた哀悼の言葉のない墓石は、1番ホールのティーの裏側にあり、プレーするゴルファーからは見えない場所だというが、「埋葬するには奇妙で不適切な場所」だと批判の声も上がっている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)